WEB BEA VOICE Vol.210 TOP  BACK NUMBER  ARTIST INDEX  BEA-NET

LIVE
松浦浩司<無職>

 「解放感あふれるコンサート〜能古島フリーコンサート評〜」
毎年夏に行われているこのフリーコンサート、野外で地元のロックバンド十数組の熱演が見れるという貧乏な僕にうってつけのイベントなのだ。会場は去年と同じく能古中腹にあるぶどう園兼キャンプ場(?)「いろり村」特設ステージ、8月31日と9月1日の2日に渡っての開催でした。両日ともあいにくと雨のち曇りの空模様だったけど、スタッフ、出演者そして客が一体となってつくり出した空間は、雨も蒸発するほどの熱気にあふれていた、と思う。ちょっとおおげさだけどまあいいや、泥だらけでステージを見守るスタッフの姿に感動したのは事実だし。感動といえば初日、能古の曇天の下オレンジの髪とヒョウ柄のチョッキで登場し、見る者をローソン地下の異空間へと連れていったスパイダーにはシビレちゃったな俺。ていうか、今まで見たことなかったバンドの魅力に触れることが出来るというのもこのコンサートのいい所でしょう。触れたその手がヒョウ柄になっても知らないけどね。
 お昼から日没まで延々とくりひろげられるコンサートゆえ、腹がへる客もいるだろう。ということで、そんな人の為にカレーライスや豚汁が用意されてたのも嬉しかった。バンドの中には結構はげしい演奏をする人達もいた(爆竹をならしたバンドもいたらしい)が、客は至って平穏、傘などさしてカレーライスを食べてる姿は、カントリーゴールドに乱入したミニストリーを不思議そうに眺める老人婦(カントリー歴30年)って感じでほほえましかったんだけど、たとえが悪くてゴメン。
両日とも最初の方と最後の方は見れなかったけど、僕が見た中じゃアップタイトとエレマダはすごかったのう。


●松浦浩司:まつうらこうじ:1965年生まれ。日々の雑感を記事にするポコペンニュース発行者。現在は休刊中だが年2回今泉の美容室ガバガバヘイにてポコペンイブニングショーを開催、復刊を求める読者との交流を深めている。無職。

HIP HOP
峰 照一朗
<バックワードプロダクションズ>

 「ライムスターがライムしにやって来た、どこに来た?」「ふ、く、お、か!!」ステージ上からの問いかけに、腹の底から声を上げる観衆。「エブリバディ、スクリーミン!!」 両手を上げ、コール&レスポンスを、同じBEATに乗って、ステージの王と客の王が一緒に楽しんでいる。こんなにすごいHIPHOPのライブは初めてだ。9月15日(日)。親不孝通りにあるRUNHIGHにて地元福岡のBUCKWORDP餓鬼レンジャーを迎えて、ライムスターのKING OF STAGE IN九州が、行われた。まずはBUCKWORDによるDJ TIME。23時半この夜ホスト役のBIGBOYと、SUGERによる開始のゴングとともに、九州男児の熱いライブが展開された。最近は、こういったHIPHOPのライブがちょこちょこ行われているので、客も一緒に歌ったりしてる。そして四人の鋭い目をした、ぶっかぶっかの格好をした男達が登場。まさにKING OF STAGEと自ら言い切るだけの内容である。見せ、聞かせ、そして何といっても、HIPHOPというものを全身で、感じられずにはいられないステージだった。やったぜ!!って感じだった。このイベントをやってくれた、COCO BUTERという女の子4人組、HIPHOP大災害に、感謝!!走り出したら止まらない。

●峰照一朗:みねしょういちろう:DJ集団、BUCKWORD PRODUCTION主幹。STAND BOPに於いて、毎月第二土曜日のBACKSHOT、隔週木曜日のBLENDで活動中。又、天神FMでHIP HOP PROGRAMをB.W.P.で担当。
ROCK
生熊 智<フリーライター>

 ライブハウスと聞いてピーンとくる人なんかもういなくなった今日、今だハカタを日本のリバプールと信じ込み結局地元でさえも目立たないハカタ発のレコードを売ってたり中央のお上から流れてくる情報をスライドさせるだけだったりとイマイチ古ボケた福岡音楽業界。僕ら受け手としてはもっと理由のないところで音楽は楽しみたいもの、名声があろうとなかろうと感じるものを摂取したいとは皆一致する意見だろう。そんな状況の中でも賢い若者たちはさすがに若いだけあってか独自の切り口をもって我が道をまっとうしているようだ。もちろん我が道とはいっても受け手である僕らにも開かれているってのが必須なんだけど、そのへんを見事クリアしているのもあるんだよね。今回は、そんな先行くヤングミュージック・シーンを牽引している魅力溢れる福岡のバンドを紹介しよう。     CAPSULE GIANTS(カプセル・ジャイアンツ)。度重なる精力的なライブ活動で徐々に人気を集めた彼ら、その高い人気もあってか今夏カーディナル・レコードより待望のCDデビューを果たしました。80年代ニューウェイブから最近のインテリジェンス・ポップまで見事に消化した独特のサウンドは逞しくもほろ苦く切なくも力強いドップリと浸るべき音。もちろんその不思議な覚醒感はCDでも充分堪能できるシロモノ。それに加え特筆なのが終わりなき完成型を追求し続ける見事に構成されたライブ。在り方自体が従来とは異なった、アートの域をも感じさせるライブは絶対体験すべきであろう。現在、東京や大阪でも精力的にライブ活動を行っている彼ら、どの地でも好評らしく今後全国的に評価されるのではないだろうか。

●生熊智:いくまさとし:メガネボーイズ1号。さえないバンドを計画中のナイスガイ、某地元ロックペーパーにも執筆している。

じろりの女<その一>
亀山 絵美 <ベーシスト>

 はじめまして皆様。あなたに会えてとてもうれしい。だけど、初対面というのはいつも少しくすぐったい感じ。なんだか舞い上がってしまって、ははは。それでも書かねばなるまい。CDの感想です。 パニックスマイルVS人間のスプリットアルバム(12曲入りCD¥1500)。いずれも、福岡のアンダーグラウンド・ロック・シーンで活躍する異才パンクバンド。一言でパンクとは言え、表現スタイルには直球と変化球の明らかな違いがあり、しかし共に魔球での勝負である事には変わりない。ところで問題のこのCD。買ってゆく人のほとんどが両バンド既経験と思われる人々なのがすごくおしい気がする。新旧おりまぜての選曲といい、音質の良さといい、入門的要素が強いだけに、もっと未知の人達に聴いてもらいたいと思うが。そしてライブを見に来る。どちらも録音物よりもライブが数段おもしろいバンドなので。ぜひ。

人間+パニックスマイル (HEADACHE SOUNDS HACD001 \1500)

●亀山絵美:かめやまえみ:じろりの女。市内某レコード店勤務。スペースロックバンド「ソーラー」のスパイシーベーシスト・スパイ。美しいもの、かわいいものを愛してやまない箱入り26歳。生まれかわったらバレリーナになりたいです。
TECHNO
稲岡 健<サイジジーレコード>

 「テクノ」って曖昧な言葉で定義も人それぞれだと思いますが、連載最初なんで一般的誤解をまず解いておこうと思います。一つ言える事は「エレクトリックミュージック(電気音楽)」というよりもむしろ「エレクトロニックミュージック(電子音楽)」だということです。これらはよく混同されてますが全然違います。前者は極端な話、電気的に増幅されている音で構成される音楽はすべて電気音楽と言え、アンプラグドな音楽以外はロックだろうがJポップだろうが何だろうが電気音楽になってしまいます。言葉遊びみたいですけどね。で、後者の電子音楽とは電気音楽の中でも特に電子音のみで(又は電子音中心に)音楽を構成し、既存の音楽のスタイルや構造を単に電子音に置換したものではなく、周波数レベル(音波レベル)で音楽を考え構成するサウンドペインティングの様な音楽です。「既存の音楽のスタイルや構造を単に電子音に置換したもの」とは簡単に言えば「手法の意味(のみ)でのテクノ」で、それはまるでプラモデルを作るみたいにロックやジャズバンドの完コピーを電子楽器を使って目指す行為です(DTMがいい例)。そんなもん面白いはずなく、シンセでギターの音出さずに本物のギターを使った方がいいに決まってます。そういう行為は往々にして商業音楽での制作費削減を目的とする、効率主義という音楽を馬鹿にした発想から生まれてくるものです。まずはそこら辺の再確認から。


●稲岡健:いなおかけん:サイジジーレコードのうそ社長。加藤紀子が気になるこのごろ。レーベルは11月に2タイトルをリリース予定。せっかくのイギリスのコンピレーションへのお誘いをセガサターンにかまけてぶっちぎったダメ男(編注:本当にダメです)

TOPICS
 ■まずは紹介しきれなかったイベント関係から。 ●8/23(金)O/DにてBE SLITS TOUR 96【脱線3+久保田武】が開催された。けっこうしょうもないMCにも思わず笑わせられたのはプロの力だろう。 ●9/15(日)福岡ヒップホップシーンに波紋を投げかける「大災害4」(RUN HIGH)が。出演はライムスター、峰&山崎( B.W.P )、R.Y.O.、SONAR、餓鬼レンジャー、マグニチュード。司会としてビッグ・ボーイ、SUGAR the GIANらがステージを盛り立てた。11月はデ・ラ・ソウルを中心に東京ヒップホップからも個々で来福予定が目白押しなのでヒップホップ好きは忙しくなりそう。 ●9/22(日)には大御所DJパーティ「オデッセイ3」(O/D)が。荏開津広、新時彦、ドン吉積という豪華ラインナップの内容は期待を裏切らず、レゲエ、ソウル、レア・グルーヴ、オールド・スクールをメインにコアな客まで満足できるセレクト。
■ビブレ・ホールが機材入れ代え&リニューアル・イベントを開催。 ●来る11/7(木)は入場無料で、THE LOVEほかの演奏が予定されている。そして、来月号にビブレ・ホールの吉田氏のインタビューを掲載するのでオタノシミニ。
■リリース情報 ●スモール・サークル・オブ・フレンズ、11/25に4 曲入りEPをマーキュリーよりリリース。タイトルは「NEVER NEVER LAND」\1500。 ●カプセル・ジャイアンツは11月下旬に同じくEPが、それとアナログ盤も出る予定。 ●HEADACHE(チェルシーQなどを企画) では福岡の精鋭を中心としたオムニバスCDを企画中。現在参加予定バンドはロケット・メン、スタンド・キャスト・バッグ、セロファンズなど。
TOO MUCH ON MY MIND
松本 康<音楽愛好家>
 誰しも、愛してやまないアーティストのレコードはすべて集めたいと思うにちがいない。「究極のコレクション」「コレクションを極める」うん、いい言葉だ。
  集める対象は、今だったらCD,少しさかのぼってLP、12インチ・シングル、ドーナツ盤(昔はソノ・シートというのもあった)、さらに太古の昔にもどるとSPということにもなる。市販のカセット・テープ(8トラック・テープって知ってる?)を集めるという手もある。それに飽きたらず、ヴィデオ、関連の書籍、雑誌、ファンジンからポスター、Tシャツ、ステッカーといった類のグッズなど気になり出したら、ファンとしてもかなりのものとなる。
  そして、熱が昂じてその一つ一つを集めていく快感はある日までで、今度は逆にそれが重い負担となっていく。集めても集めても集めるべきものが次々と出てくる。誰もそんなこと考えずにただ好きだから、ひたすらに自分の元にたぐりよせていただけなのに。さてこれからどうしよう?答は簡単、飽きたところで止める!止めたところで誰にも迷惑はかからないし、むしろ喜ぶ人の方が多いかもしれない。所詮、「極める」なんて、無理だよ。じゃあ、今までのあれは何だったんだということになるが、それは自分自身の営みだったんだから、他人に迷惑をかけていなければ、それはそれでいいことだ。
 と、ひと事のように書いてきたが、これはほとんど自分に言い聞かせているけど、実際はそう簡単には行かない。何しろ今までの投資額も馬鹿にならないし、思い出という断ち切りがたいものがつきまとう。しかし、ひとつ屋根の下
に同居人がいると、自分だけの愉しみといって場所を占有することもできない。どこかでキリをつけないといけないというプレッシャーがのしかかる。
金儲けをして、誰にも文句を言われない地位と空間を確保すればいいのだけど、いろいろコレクションしていると、逆の方向に走っていることになりかねない。コレクションなんてのは非生産的な行為だろうから、いつまで経っても、窮屈さからは脱出できない。さてどうしたらいいのだろう!
 時代は変わって、CDの時代となって久しいが、「コンパクト」という言葉が、あまり意味をなさなくなってきている。「全曲集」やら未発表曲満載といってCDボックスがでたり、いままでLPで持っていたものに、何曲かのボーナスが増えて、「マニア必携の!」なんて宣伝文句にコロッと参ってしまい、結局入手してしまっている。何で今頃になって、未発表というのがゴロゴロ出て来るんだろう。おかげで、こちらの方も部屋の中で、うずたかく積み上げられていく。CDも善し悪し。
 ひとつのアーティストだけだったらまだしも、好きなジャンルを極めるとなるともう悲惨な状況になる。たとえば、ジャズのブルー・ノート・レーベルだけを集めるとしても(私には縁のないことだが)、初版、再発、各国盤とコレクションが広がることだろう。そして、その数たるや…。私が興味がある戦前ブルースというやつも、オーストリアのドキュメントというレーベルが録音順に全曲CD化してきていて、タンパ・レッドやビッグ・ビル・ブルーンジーなどの大物級になると60分以上収められたCDがそれぞれ10巻以上になる。このドキュメント・レーベルのリリースたるやもう500巻に迫る勢いで、もう完全にお手上げ。少し気になっている戦前のジャズにも同じようにクラシックスというレーベルがあり、こちらも300巻を優に越えている。そうなると好きを通り越して、図書館のようになってくる。
 何事も1曲に始まるのだが、その1曲のインパクトがだんだん薄れていく。DJブームの中で、1曲に自分の想いを託すという聞き方が一つの聞き方になったりしていると思うが、それが一番!1曲1曲体に染み込んでこそ、音楽そのものの愉しさがある。何かと忙しくなる前に、暇がある人は、集める前に聞く、楽しむ!集めるのはいつでも出来る!時間は作ろうと思っても作れなくなる。  今回は何となく、切れが悪かった。次回はあるとしたら、速い球出しからのトランジション・ゲイムをして、最後はアリィウープでズバッと決めたいが、どうなることやら。では、今回はこれで。

ILLUST:KAKO KAMITA


●松本康:まつもとこう:ロマンスグレイのナイスミドル兼レコード店店主。天神FM(フリーウェーヴ)にて月〜金午後2時から30分間おいしいソウルを選曲しています。最近、四半世紀に渡る捜索のすえ遂にメル・カーターのHold Me , Thrill Me , Kiss Me を入手、御満悦。