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vodka collins live
1996年8月29日(木)22:30
at クロッシング ホール
 ウォッカコリンズ、ピンときたアナタはかなりの通。耳慣れぬ方に簡単に説明するなら、偉大なるジャズ・シンガー、ヘレン・メリルの子息アラン・メリルを中心に結成され73年に<東京-ニューヨーク>なるアルバムをリリース。当時の日本のロック・シーンといえばグループ・サウンズ・ブームがなしくずし的に終わりを告げ(ナベプロによって終わらされ?)心あるミュージシャン達は、試行錯誤しながら新しくて<本格的な>音造りを模索していた良き時代、そんな中でかまやつ“ムッシュ”ひろしのバックをつとめ、また本格的というよりまったく<本物>であるアラン・メリルを擁したコリンズは、当時耳の肥えたファンには評価されたらしいがその後は?といったところがバンドのあらまし。
 その、ウォッカコリンズが再結成して福岡にやってくるという情報が届きビックリしたのなんの。 おまけに、メンバーがスゴイ。アラン・メリル(G&Vo)、大口ひろし(Dr)はオリジナル・メンバーなれどギターでムッシュかまやつ、ベースに加部正義(B)というラインナップは、数多いグループ・サウンズ経験組の中でも最も音楽的なベスト・メンバー。特にベースの加部氏は、“ルイズルイス加部”あるいは“マー坊”の愛称でゴールデン・カップス〜スピード・グルー・アンド・シンキを渡り歩きヘヴィなリード・ベース奏者としてファンも多い。
 今回のライブは、再結成と同時に新譜もリリースしてはいるがどっちかというとマイペースで行き当たりばったり的な雰囲気。それはそれで“らしい”気もするし、なにより若いファンも増えてきているので気軽に来てもらったような感じがいい。
 会場はクロッシング・ホール、なんだけれどちょっと様子が違う。夏期はビアホール営業とかでテーブルがフロアいっぱい出してあるし客はビールを煽りつつで安っぽいディーナーショーの雰囲気。こんなんだと知らずにライブを見に来た若いファンは戸惑いながら日頃、縁のない客層を警戒しつつビールをすすっていたのが笑えた。


▲アラン・メリル

 ライブは、ダーッと一気に終わったような印象。オリジナル曲に加え、<ジャンピン・ジャック・フラッシュ><ホンキー・トンク・ウイメン><ジョニー・B・グッド><ウォーキン・ザ・ドッグ><フーチー・ク
ーチー・マン>のカヴァなど13曲を披露した。かまやつ氏とメリル氏は何となく楽しそうだったがMCは全てメリル氏による英語、他メンバーは完璧にバッキングに徹しておりちょっぴり物足りない感じが残った。

FREQUENCIES
1996年8月30日(金)21:00
at O/D


▲オキヒデ ▲エガミヤスシ
 特集で登場してもらったサイジジー・レコードの稲岡氏が手がける定期イベント。とはいえこの夜は約3ヶ月ぶりの開催なのに加え、サイジジー初のCDリリースとなったOkihideのライブが予定されているとあって客の期待もふくらんでいるようだ。門外漢の目ではあるが、サイジジーのパーティに来る人は本当に音を楽しんでいるようで、まぁクラブの楽しみ方っていうのはそればっかりとも言えないのでいろいろあってもいいと思うが、やっぱり音あっての場だから…と再確認させられる。DJはNi-Ya、TAGAMI、そして稲岡健。しょっぱなのNi-Yaからやたらヘヴィに攻めている(ように思えた)のでそばに居た稲岡氏にそう言ったら「いやー僕もそう思ってたんですよ、何かあったのかなぁ」と同調していた。テクノではあるが、やたら“人間臭い”ものを感じたような気がした、とはいえ今ごろ“打ち込みだから無機質”だってことなんてもう誰も言わないか。
 ライブは30分ずつだった。正直言ってテクノのライブ?と聞いてどうにもうまく想像しかねていたのだが始まった途端アナログ・シンセの強烈な音塊がスピーカー間を飛び交うは、シーケンサーからはずっしりとしたビートが直に送出されるはでしばしボーっと聴き入ってしまった。音楽というよりミュージック・コンクレートみたいな(ウォルター・カルロスなんか)とにかく、音の存在感がすごいのである。踊るとかなんかより音の部屋に居るだけっていう感じだった。ライブしている方はシンセやシーケンサーを淡々といじっているだけに見えるのだが、それもまた良かった。(何がいいんだ?)。途中からダンスに対応できるビートものも聴かせてくれたが、とにかく、テクノのライブはすげぇ…と思った次第。


ビバ!歌謡ナイト
1996年9月7日(土)21:00
at O/D
 深い、深いぜ歌謡曲ってのは。だが、歌謡曲のDJと聞いてピンクレディーや銀蝿を連想されたら悲しいのでひとこと言っておかねばならない。今回のイベントは趣が、ちと違う。それは元:東京パノラママンボボーイズそしてフィフス・ガーデンなどのユニークなバンド歴と、50〜60年代の音楽・風俗の研究家として有名なコモエスタ八重樫がプレイするからだ。
 ところで最近、邦楽がDJたちに(限らずとも)注目されている。いわゆる渋谷系に人気の<はっぴいえんど>や<シュガー・ベイブ>再評価から始まって<ティンパンアレー><ブレッド&バター>などの復刻(それもアナログ!ヴィヴィドさん、いい仕事です)が評判いいし、もっと時代を遡ればグループ・サウンズの<アウト・キャスト>なんていう、当時グループサウンズを聴いていた人すら知らないようなバンドから<モップス><ダイナマイツ><ゴールデン・カップス>といった、時代を超越した極めて音楽的(ロック的)なバンドのレコードも続々再発されている。そして何といっても白眉は<ジャックス>及び<早川義夫>のアナログ再発だろう。歌謡曲に目を向ければ和田アキコの<ボーイズ・アンド・ガール>などの和製ソウルを感じさせる正統派ものや大信田礼子<ノックは無用>などお色気もの、なんで出したのか理解不能な企画盤や自主制作&爆走歌謡ものなどなど、枚挙にいとまがない。
 そういうわけで世論は追い風(?)もっと深い世界を、というので今回の企画とあいなった模様。 当夜は夜9時のオープン、普段クラブは深夜にしか人が集まらないものだが、こういったイベントはどっちかというとコンサート感覚なのでさっさと客が来るようだ。そしてノッケの地元DJから躍り出す。当夜DJを務めたK氏によると、<はっぴえんど>などの70年代ものを取り出す余裕もなく60年代のビートものしかかけれなかったそうで、みんなガンガンいってたらしい。
▼コモエスタ八重樫

そして八重樫氏の登場となるのだが、さすがに手慣れたもので、軽妙なMCを交え、ラジオっぽい演出されたDJを見せる。これはこれで新鮮だ。そうだクラブのDJも自分の音楽に合ったスタイルをもっと工夫すべきだ、と感心しきり。曲はエレキ歌謡やラテン歌謡もの、自身が手掛けられた再発盤や企画盤を中心にピッチは落ちない、さすがである。多分、お客さんも、知っている曲はあまりないはずだが楽しそうに躍っている。サトー・ノトの<ドッキング・ダンス>や海堂はじめの<スナッキーで踊ろう>といった爆笑パンク歌謡の再発シングルくらいは持っているんだろう、多分。しかし、松岡計井子の<カム・トゥゲザー>にもちゃんと反応していたのにはたまげた。また、ブースからレコードのプレゼントというサービスも忘れず、盛況のうちに夜は更けていった。


WILD SIDE '96
1996年9月23日(月)19:00
at 西新ビーベン
 ライブはカプセル・ジャイアンツ、スモール・サークル・オブ・フレンズ、サイカゴーゴー、ナンバー・ガールの順。音はバラバラなんだが各バンドともそれぞれ全国規模でリリースされているので出演順にビッグだなんてことはなく、あくまでイベントの流れを考えてのことらしい。
 カプセルズは11月の新譜を控えて、新曲ありのスペイス感あふれるステージを披露してくれた。MCがほとんど入らず一曲一曲が流れるように続いていくなか、ファンは小さくリズムを取りながらステージを見つめていた。



▲横溝礼央/CAPSULE GIANTS

▼向井秀徳田・淵ひさ子
/NUMBER GIRL

 アコースティック・セットのSCOFはゲストという形での出演、5曲をサラっとこなした感じ。 にしても、さすが今回の中では一番のキャリアを持つだけあってうまいこと空気を作っていくのには脱帽だ。「帰ろうよ」「Sittin' On The Fence」などをバンジョー入りのコンボでアレンジしたなごむ30分だった。
 約一年半ぶりのライブというサイカゴーゴーは熊本から。その筋から絶大な支持を得ているだけあってまさに爆走ガレージ魂がすごかった。ポップではあるがあまりに激しい演奏と叫びは、彼らのルックスからは絶対、想像できまい。そこがまたカッコよい。
 ラストはナンバー・ガール。正確で緻密な演奏はいつも通りだが、気合いがすごい。そして珍しくカヴァをやった、そして遂にドラムのイナザワくんがキース・ムーンになってしまった、ザ・フーの「ソー・サッド・アバウト・アス」。アンコールまで出てしまい、これは来年が楽しみになる。
 演奏だけでなく宣伝・集客・収支などイベント自体の運営も成功だったようだ。そういった意味ではプロの仕事と何ら区別はないのである。今回のライブはクラブ・シーンやライブハウスによくある“ごっこ”から脱皮していたという点で残した意義はでかい。メジャーでもないしアンダーグラウンドでもない、そしてその中間でもなくまさに“独立している(インディペンデント)”姿を見せてくれた。ただ怠けていることをアマチュアリズムやインディーという言葉で誤魔化すことはもう通用しないのである