ちゃんとした歌を、きちんと聴かせたい。
 文/熊谷美広  
 写真/ノニータ  

rina chinen SPECIAL INTERVIEW
『Wing』『Be yourself』と立て続けに ヒットを飛ばし、一躍人気者となった知念里奈。 その堂々とした歌唱力とエキゾチックなルックスで 多くのファンを魅了している。 初の全国ツアーも決まって、 今乗りに乗っている彼女に、歌のこと、 ライヴのことなどについて聞いてみた。

 小さな頃は、どういう音楽を聴いて育ったんですか?
知念里奈:「小さな頃って、邦楽とかはほとんど知らなかったんです。家がすごく厳しくて、テレビも7時とか8時ぐらいまでしか見せてもらえなかったんです。だからドリフさんとかもダメだったんですよ。でも父がすごく音楽が好きで、父が聴いているものは私も聴いたりしていたんですけど、そのあとダンス・スクールに通うようになって、歌を歌うようになってから、日本の歌を覚えるところから始めたという感じでした。」
――お父さんが聴いていたのは、どういう曲だったんですか?
知念:「マイケル・ジャクソンとか、デヴィッド・ボウイ、ドゥービー・ブラザーズ、ホイットニー・ヒューストン、スティーヴィー・ワンダーあたりですね。」
――歌を歌いたいと思ったきっかけというのは、どういうものだったのですか?
知念:「最初は歌じゃなくて、映画のオーディションだったんです。おもしろそうだったんで友達と受けに行って、そこでダンス・スクールの校長に誘われたのがきっかけです。だから最初の何年かは、ほんとうにピアノのお稽古ごとみたいな感じで、今日はやだなぁ、と思ったら休んでたし、家族と旅行とかだったらぜんぜん行かなかったりしてたんですね。でも父の仕事の都合で大阪に行くことになって、中学はそこで通ってたんですけど、学校に行く以外にやることが無くて、つまんなくって、どうしてもまたそのダンス・スクールに行きたくなって、それでひとりで沖縄に戻ったんです。そこからが、本当にやっていこうというきっかけでしたね。そうしたら帰った途端にデビューが決まって、そこからはもうずっと練習ばかりしていました。」
――その頃、目標にしていたアーティストとかはいたのですか?
知念:「いちばん最初にすごく影響を受けたのはマイケル・ジャクソンですね。今そう言うと、みんな“えっ?”っていう感じになっちゃうんですけど(笑)。でも、大好きで、尊敬していましたね。」
――たしかに「スリラー」って、今聴いてもすごくよくできたアルバムだと思いますね。
知念:「そうですよね。いいんですよ。」
――東京に出てきて、デビューしてから、歌に対する考え方とかに変化はありましたか?
知念:「責任感みたいなものは、最初の頃から比べると出てきたと思います。曲を作ってくれている方だったり、作詞してくださる方だったり…デビューする前に人の歌を歌っていたときは、そういうことはあまり考えなかったんですけど、オリジナルの曲は、里奈しか伝えられない曲だし、表現できない曲だから、責任を感じますね。」
――デビューから2年ぐらい経つわけですけど、この2年間は、どうでしたか?
知念:「早かったですね。早い早い(笑)。でも東京の暮らしにも慣れてきたし、楽しくなってきたかな、という感じです。でも好きなことが仕事になっているというのは恵まれているし、感謝しなきゃなと思います。」
――東京の暮らしは、沖縄に比べてたいへんですか?
知念:「そうですね。私も東京に出てきた頃は、家族も友達もいないから寂しくて、新宿御苑なんかにひとりで行って、ブラブラしたりしていましたね。」

――それで、デビューして2年経って、5枚目のシングルの『Wing』が初めてベスト10入りしたとき、どういう気分でした?
知念:「単純にうれしいなとは思いましたけど、里奈の曲って、それまで全部方向性が違っていたので、私の方向はどっちなわけ?って迷いながらやっていた部分もあったんです。それで『Wing』がヒットして、チャートを上っていったときはすごくうれしかったけど、すごく考える時期ではありましたね。ちょうどアルバムを作っている時期で、ただ作られてきた曲をそのまま歌うのがすごく嫌で、だからアルバムでも、曲順だったり、アレンジだったり、詞のことだったり、出来る限り参加して、いろいろと意見を言って、ちゃんと“自分”というものがいるものにしたかったんです。でも結果としてそういう風に出来たので、すごく満足しています。」
――アルバムを1枚作ってみて、何か気付いたこととかありますか?
知念:「これからの方向性というか、アイドルって言われるのは、里奈はぜんぜん嫌じゃないんです。今のこの歳で、こういう風にやっていれば、そう思われるのは仕方ないし、好きなことをやっているし、すごく一生懸命歌に取り組んでいる自分のことが好きだから。でもいつかきっと脱皮できるように、そこを目指してやっていきたいですね。」
――これからどういう歌を歌っていきたいとか、具体的なイメージはあるのですか?
知念:「歌詞って、歌の中ですごく大切じゃないですか。『Wing』の頃から、作詞家の方と話をして、それで書いてもらうようになって、だからアルバムで新しく書き下ろしていただいた曲もそうやってできたんですけど、いつか自分でも詞が書けるようになればいいなと、すごく思っています。あとはバラードも、アルバムでは歌っているんですけど、シングルでも歌ってみたいですね。難しいですけど。」
――次のシングルは、どういう感じの曲になりそうなんですか?
知念:「なんて言えばいいんでしょうね。テイストはこれまでのとはちょっと違う感じで、“えっ、こうくるの?”という感じのものにはなると思います。いい意味で期待を裏切るような。私も楽しみにしています。」
――3月から初めての全国ツアーが始まりますけど、どういうものになりそうですか?
知念:「今、ギターの練習をしているんですよ。アルバムを作っているときに、音についても、もうちょっと知らないと、スタッフとちゃんと話ができないなと感じて、それで先生についてギターを練習し始めたんです。だから、ツアーでみんなにそれを聴いてもらえるといいなと思っています。でも難しいですね。ツアーが始まるまで時間がそんなに無いので、もっと練習しなきゃいけないんだけど、指がなかなか動かなくって(笑)」
――それ以外で、ツアーでやりたいことは?
知念:「この間東京で1回だけコンサートをやったんですけど、ファンの方と里奈の間で約束事がまだ出来ていないから、お互いに戸惑っちゃって、みんなア然として観てて、何なんだろ、もっと楽しんでくれーって思ったんですけど(笑)、今回のツアーでファンの方たちとの間に約束事を作れたりするのも、すごく楽しみにしています。あと今回のツアーでは、ショウみたいにステージの動きをゴチャゴチャするとか、そういうんじゃなくて、いい音と、ちゃんとした歌を、きちんと聴かせられたらいいなと思っています。もちろんダンスのような部分もありますけど、あくまでも歌がメイン、と。」
――知念里奈の歌をじっくりと聴いてほしいと。
知念:「はい、がんばります。」
――ツアーで、是非こういうところを見てほしいといった部分はありますか?
知念:「やっぱり一緒に楽しんでほしいというのが一番にありますけど、生で私の歌を聴いて、何かを感じてもらえればいいなと思います。すごく細かいたとえ話なんですけど、あの曲を聴いて、明日もがんばって学校に行こうと思いました、とか、そんな細かいことでいいから、伝わってほしいですね。」
――知念里奈は、これからどういうシンガーになろうとしているのか、目指しているところなどはありますか?
知念:「自分の色が決まるといいなと思っています。これまでは、アルバムも含めて全部違う感じのものが多かったので、ちゃんと自分の色を決めたいし、里奈じゃなきゃというものもほしいし。でもそれには里奈の努力もすごく必要だと思うから、このところずっと仕事ばっかりでレッスンする時間がなかったので、夏のライヴが終わって一段落したときにもスタッフの方にお願いして、空いている時間は、ヴォイス・トレーニングやダンスレッスンをやるようにしています。向上心を忘れないように。ライヴをやったときに、もっと、もっとというのが自分の中にあって、そうなるためには練習も必要だし、いろいろなことを吸収したいし、そういう意味で、練習をいっぱい入れてもらっています。だから今後も、いつもいつも前進していたいです。あと、ライヴをやる機会はもっともっと増やしていきたいですね。夏にイベントみたいな感じで、いろいろな所でライヴをやったんですけど、すごく楽しかったですね。今年はそのことしか覚えていないくらい。やっぱりライヴはいいですよ。だから、ツアーがとても楽しみです。」
――でも、17歳っていったら、遊びたい年代ですよね。練習ばっかりやってて、つまらないっていうことはないんですか?
知念:「でもそんな時間の間を縫って、そのあたりは上手にやってますよ(笑)。私、要領がいいみたいなんです(笑)。まだ若いから、今できることをいっぱいしたいし、コツコツ、ジワジワと、上を目指して。…ポーンって何かやっちゃうよりも、そっちの方が絶対に楽しいだろうなって思いますね。」
New Single『YES』
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