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情念のシンガー〜早川義夫の巻
いや実際、こんなに「うた」の力を思い知らされることって滅多にあるもんじゃない。早川義夫のことであります。彼がヴォーカルをとっていたバンド「ジャックス」は伝説になってしまったけれど、早川義夫はそんな過去などお構いなしに曲を作り歌い、叫び続けているのです。
僕は、早川義夫をロックミュージシャンだと思うのだけど彼のスタイルといえばピアノと「歌」だけ。なのにロックなのです。何故か?・・・それは曲を聴いて、ライヴを体験すれば分かる。人間が持っているいろんな感情を思い切り叫び、全身でピアノを打ち付けて表現する姿、これが全てを物語っているのです。
で、今回は早川義夫のライヴに同行。その人間味あふれる世界を耳に、目に、心に焼き付けることとあいなった。 ライヴの流れは大きい波がうねるように、ストーリーを紡ぐように展開していく。代表曲ともいえる「サルビアの花」からエッチな歌、ほのぼのとしたラヴソング、失恋する歌などがどんどん演奏されていく。曲間のしゃべりはほとんど、無い。歌で全てを表現するのだからしゃべりなどは余計なものなんだ、と納得できる。いろんなタイプの曲が、早川義夫という人間を余すところ無く伝えてくれる忘我の120分。オリジナルの楽曲は、もちろんいいのだけど意外だったのが『塀の上で』。これは鈴木慶一氏の曲で氏がムーンライダーズを結成する以前の、はちみつぱい時代に書いたものなんだけど、鳥肌ものだったです。本当に。
この春には待望の新作もリリースされるという話。ライヴで披露された「天使の遺言」や高田渡作「君の女房」はもちろんのこと、何を演っても早川義夫なんだけど、こういうちょっとした新展開って感じがすごく良かった。僕は日頃、レコード聴いたりラジオやテレビから流れてくるいろんな音楽を耳にしながら「ロックとは何ぞや?」と考え悩んでいるのですが(悩むなっちゅうの)、このライヴでやっぱ吹っ切れました。「見る前に跳べ」ですな、ほんと。
文/森 裕史
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