SAS・21年目のスタート→ドーム公演決定!!
 文/熊谷美広  TEXT by Saori Nakashima
 写真/山田トモフミ  PHOTO byTomofumi Yamada

Southen All Stars SPECIAL INTERVIEW
98年にデビュー20周年を迎えたサザンオールスターズ。 静岡県の“渚園”で20周年記念コンサートを行ない、20年目のアルバム『さくら』をリリースして、 その活動に“句読点”を打った。 そして彼らは休むことなく、21年目に向かって動き出した。 春にはそんな彼らの新しいツアーも予定されている。 そこでメンバーの松田弘(ds)、野沢秀行(perc)に、サザンオールスターズ20年の思いと、これからの彼らの活動について聞いてみることにした。

 --サザンオールスターズ(以下SAS)は98年でデビュー20周年となりましたが、20年経った今の感想は?
松田弘:結果的に20年というのはひとつの句読点だという気はするんですけど、ぼくたちは毎年毎年の積み重ねで20年になっちゃったという意識のほうが強いんですね。でも18年目ぐらいから、ファンの方たちから“もうすぐ20年ですね”って言われることが多くなってきて、それで自分たちも意識するようになっていって、20年目にアルバムがないのもヘンだなということになって、『さくら』のレコーディングに入ったんです。そうしたら、延べ3,000時間くらいかかってしまいました(笑)。
野沢秀行:そのレコーディングの間にも、いろいろなイベントとかも入ってきたから、けっこう忙しかったですね。
――デビューしたときに、20年後の自分たちの姿って、イメージしたりしていたんですか?
野沢:ええ、考えてました…ということはなくて(笑)、全然考えていませんでしたね。メンバーでそういうことを話したこともないし。
松田:バンドって、いつか解散するのが自然な成り行きで、だからやれるところまでやりましょうという感じでしたね。
野沢:最初レコードが出せたらいいな、というところから始まって、次に売れたらいいなっていうことになって、そのうちにどんどん欲が出てきて、それをひとつひとつやっていったら、また見えないものが見えてくるようになって、それをまたどんどんやってきたら結果として20年経ったということですね。通過点ですからね、20周年といっても。でも区切りはいいかな、と。
――音楽に対する取り組み方などは、20年間で変わったりはしましたか?
野沢:基本的には変わっていないと思うんですけど、ただ経験したことや失敗したことによって進歩はしていると思いますね。例えばライヴでデビュー当時の曲なんかを演ると、コード進行もリズムも今よりも簡単だったりするんですけど、それに現在の自分のリズム・パターンをはめてみようかと思って演ってみると、これが難しいんですよ。「思い過ごしも恋のうち」とか、悩んじゃいました(笑)。テクニックなんかは確実に進歩しているんだけど、そういう驚きはありますね。だから自分たちが「勝手にシンドバッド」を演奏していることに慣れているかというと、実はそういうことはないんです。あんなに演っているのに。
松田:成長しているんだから、昔のままじゃちょっとダサイよね、ということになって、ライヴだとアレンジをちょっとずつ変えたりしているんです。
野沢:「いとしのフィート」なんて、いろいろなアレンジのヴァージョンがあるんです。だからリハーサルの度に、“今回はどのヴァージョンだっけ”って迷ったり(笑)。

――それでアルバム『さくら』ですけど、やはりこれが20周年のひと区切りという感じなのでしょうか?
野沢:そうですね。98年は、ここに向かってすべてが動いていたという感じはあります。ぼくたちからファンの人に対して“ありがとう”を表現するのには、アルバムを作ったり、コンサートを演ったりするのがいちばん分かりやすいじゃないですか。だったらいいものを作って、みんなで一緒に喜んでもらおうと。でも大切なのは20年より先で、ぼくたちはこれからもっとおもしろいことをやるんだぞ、ということがこのアルバムにどれだけ入れられるか、ということをみんなで意識してレコーディングしていきましたね。
――SASっていうグループの良さって、次に何が出てくるか分からないところだと思うのですが、このアルバムにもそんなワクワク感がありますね。
野沢:ぼくたちはデビュー当時からゴッタ煮だったんですけど、たぶん欲張りなんでしょうね。いろいろなものをやってみたいんです。
松田:まだまだ可能性はあるというか、96年に出た「愛の言霊」なんかは、SASの新たな一面が出せた曲だと思うし、今後は1曲でもそんなSASの新しいヴァリエーションを探していきたいなと思いますね。
――具体的に、『さくら』に盛り込まれた新しい要素というのは、どういったところですか?
野沢:「NO-NO-YEAH/GO-GO-YEAH」とかはハード・ロックっぽかったりして、意外と今までやってこなかったものなんです。途中の構成なんて、よき時代のハード・ロックですからね。
松田:あと「唐人物語」や「SAUDADE〜真冬の蜃気楼〜」なんかは、ちょっと幻想的な世界だし。
野沢:「CRY 哀 CRY」なんかも、ぼくたちの新しいパターンというか、お客さんを突き放しているようなんだけど、ギリギリのところというか。あまり行くと自己満足になっちゃうんだけど、そのあたりにぼくたちなりのスパイスがギリギリのところで効いていると思いますね。
――SASって、これまでも、突き放すか突き放さないか、ギリギリのところで作品作りをしてきましたよね。
野沢:そうですね。そこは絶妙ですよね。
松田:ひとつ間違うと自分たちだけで、自己満足っぽくなることもあり得ますからね。
――それで、21年目のツアーが始まりますが、どういった内容になりそうですか?
松田:新たなるSASを出すべく、98年後半はそれぞれのメンバーが刺激を受けたり、考えたりする期間に当てて、ぼくたちはニューヨークに行ってきたりしたんです。
野沢:ふたりで一緒に行って、いろいろなパフォーマンスを見て、刺激を受けてきました。それがSASにどう応用できるかはまだ分からないですけど、それを形にしていきたいですね。メンバーそれぞれが今、充電期間を過ごしながら、実はピリピリしていろいろなアイディアを考えて、それをパズルのように合わせている最中なんです。
松田:今回のツアーは、選曲とか、構成とかも、今までとは違ったものにできればいいなと思っています。これまで以上に大きな変革のあるツアーにしたいと考えていますので、それを形にしてお見せできると思います。合い言葉は“究極のインドア・コンサート”です。実はドームでコンサートを演るっていうのは、初めてなんです。これまでアリーナとか、野外のイベントが多かったですから。だから究極のインドア・コンサートをみなさんにお見せしようと。
――『さくら』で、プログレっぽい部分ってありますよね。
野沢:そうですね。そのあたりがヒントになるかな、と。ちょっと自分たちでも楽しみにしています。メンバーの間では新しいものを見てもらうんだという意識で、いろいろと考えています。
松田:常に新しいSASを見せていかないと、自分たちでもつまらないし、お客さんにも飽きられるだろうし。だから今回は21年目以降の新たなる方向性を決めることになるツアーになるのかな、という意識はあります。
――『さくら』とツアーが、これからのSASの予告編になる、と。
野沢:そうですね。そういうものを表わせたらいいなと思いますね。とにかく、観に来てよかったなと、みなさんに思っていただけるコンサートにしたいです。照明がどうだとか、仕掛けがどうだとか、そういう付加価値じゃなくて、SASって最高、と思ってもらえるようなものにするために、ぼくたちも頑張っていきたいと思いますね。
――最後に、SASって、やっぱり桑田佳祐という人がバンドの顔だと思うのですが、メンバーから見て、どういう存在なのでしょうか?
野沢:デビューした頃“リーダーは?”って聞かれても、誰も答えなかったんです(笑)。彼自身は“自分がリーダーです”とは今も言わないんだけど、完璧にリーダーだし、アイディアもくれますし、すごい人だと思いますね。
松田:何か物足りなかったら、ハッパをかけてくれるし。完璧主義者だし、仕事の鬼だし。だから彼がサーフィンを趣味で始めたとか聞いて、よかったと思いますね。やっと人並みになってきたかと(笑)。
野沢:音楽のため、音がよくなるためだったら、すごく気を使いますよね。もっといいものが出せるだろって、相手を刺激するタイプです。ぼくがやり切っちゃったかなと思っても、“お前の力はそんなもんじゃないだろ。もっともっと出るんじゃないか”って言ってきて、“じゃあ、もう1トライ、2トライするか”…っていうのが延々と続くタイプなんです。例えばレコーディングで最高のものができたと思っても、“明日もう1回やるともっといいものができるかも知れない”っていうのがSASというバンドなんですけど、その先頭を切って走っているのが桑田佳祐という男なんです。
松田:誰よりもSASの方向性を握っているのは彼だし、だからプレッシャーもすごいと思いますね。
野沢:そんな彼をちゃんと安心して歌えるようにするのが、ぼくたちの役割なんです。

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