悪ガキの美学
 文/なかしまさおり  TEXT by Saori Nakashima
 写真/山田トモフミ  PHOTO byTomofumi Yamada

本気なだけにハマると深い、 CASCADEという純粋なガキどもが仕掛けた魅惑の罠。

『メモリーズ』『アザヤカナキセキ』と立て続けにリリースされたシングルの後、 降ってきたのは恐怖の大王…ではなくアルバム『コドモZ』と福岡国際センターでのライヴ !! 今回は超スペシャル版で12月に福岡サンパレスで行われたライヴと新たなツアーについての想いなどを Makko(B)が語ってくれました。


 左右対称に組み上げられた重量感たっぷりのメタリック・セット。おっ、なんだかガンダムの要塞みたいでカッコイイじゃん。オープニングは壮大なスケールで響く『la narracion grande』。“喧嘩に来たぜ”と言うだけあって、Tama以外の3人はカムフラ柄の服を着用。しょっぱなから戦闘体制バリバリのオーラで飛ばしまくる。「ライヴハウスにしちゃっていいからな!」とTamaが叫べば、2000を超える巨大なキャパをSOLD OUTに叩き込んだカスケーダーが一気に応える。ステ−ジ上には揺らめく炎。暗闇に広がる真っ赤な静寂にTamaが消えると、炸裂したのはMasashiのヴォーカル。込み上げる衝動を抑えきれずにステージの袖まで駆け寄りジャンプするMakko-。かなり激しいリズムを刻んでは、がんがんドーパミンを放出中のHiroshi。それぞれが、それぞれの演り方で、ライヴという空間をどん欲に楽しんでるっていうのがよ〜く分かる。
 「今は単純にライヴ自体を楽しめますね。昔は結構シャットアウトしてたっていうか、完璧にシャッター降ろしてたし。完全に自己満足の世界。“お前らにはどうせ分かんないだろう”みたいな気持ちで。お客さんと一緒になんかやるのも凄いイヤだったし。…でも、1回演ってみたら…これがむちゃくちゃ気持ち良くてね(笑)! あれはもう病みつきですよ。ただ12月のサンパレスはある意味、プレッシャーか何か、それに似たような感覚がありましたね。“飽きさせないようにしなきゃいけないな”っていう気持ち…。ほらライヴってず〜っと演ってくと、どうしてもあるパターンっていうのが出来ちゃうじゃないですか。もちろん、それは手を抜くっていうのとは違うんだけど、同じ事を演るにしても初めからテンション高めていかないといけないなっていう。そういう意味ではこないだのツアーは、バンド自体にとってひとつの“段落”になったような気がするし、いわゆるそれまでのCASCADEに対する総決算?僕らが今までやってきた事への、答えみたいなものは出せた感じかな」

 アンコールでは(この時点ではまだリリ−ス前だった)新曲『メモリーズ』を披露。『cuckoo』とはまた違った流れの、でもやっぱり“CASCADEらしい”メロディがサンパレスにこだました。そう言えば、以前インタビューでMasashiがこんなことを言っていた。「僕たちいつも着地点は持たないんですよ」。つまり行き場を先に決めてしまうと無理をする。本当は違うところに行きたくなってるのに、それを変更できなくなってしまうんだと。それを逃げと取るか、攻めと取るか、それは聴き手の自由だけれど、良い意味で彼らは子供みたいに飽きっぽいのだ。カラフルでキャッチーなサイバー・パンク。かと思えば、激しいノイズとビートの応酬。時にはスカスカなリズムで皮肉なポップを口ずさんだりして、“お前ら一体、何者なんだ?”と思わずツッコミ入れたくもなる。ただ、要は“音楽やってて楽しい、バンドやってて面白い”っていう気持ちにどれだけ純粋かつ本気でいられるかが大事なわけで。本気だからこそ深い、ワルガキの美学にハマッてみるのも案外楽しい。もちろん3月25日にリリースされるアルバム『コドモZ』にはそんなガキの本気がギッシリ!つい最近リリースされたシングル『アザヤカナキセキ』を含め、すでにスタートしている『CASCADE LIVE TOUR 1999“カミカゼBOWZキドウタイ”』の機軸となってる傑作が13曲。タイトルすべてがカタカナ表記というのも、無機質に見えて実はすごく具現的な想像力喚起装置だったりもして…。


--そもそもカタカナってどっか外国っぽいイメージがするけど、ホントは日本独自の文化でしょう?そういうパラドクスはやっぱりCASCADEだなって思うんですよね。
「そうですね。ちょっと抽象的な話になるんですけど、例えば花の絵があるとしますよね。花っていうのはすごく鮮やかとかキレイなイメージがあるじゃないですか。でもその花のところに、例えばハチがいるとか、そういうのがあるだけでちょっと棘がある。実はキレイな花なんだけども、よく見ると花びらがカッターになってたり、鋭い歯がついてたりとかっていう、何かそういう“よ〜く見るとアレ?!”っていう面白さを表現できたら、僕ららしいなっていう気はしますね。だからその辺のユーモアが分かる人には楽しいですよきっと。痛快さっていうんですか?“あら〜、やってくれたわ〜”みたいな(笑)。何かね、特別でいいと思うんですよ、バンドとかロックとかって。堅い人が聴いたらしかめっ面するぐらいが丁度いいし、特定の世代にしか分からない価値観のカッコ良さ、それをみんなでニタニタして楽しんでるっていうね。ま、昔はそれが4人だけでニタニタやってたんですけど、その幅がね、だんだん広がってって今はみんなでニタニタ(笑)と。で、もちろん大人とかにはそのニタニタは分かんないと思うんだけど、またそれはそれで“分かんないけど面白い”とか“分かんないけど聞いちゃう”っていう状況が広がってるのが面白くって」
--そう言えば以前、CASCADEは変容性ウィルスのようだって書いたんだけど、何か知らない間に冒されてる怖さはあったりしますよね。スリルというか。
「そうそうそう!僕らはやっぱり常に“毒”でありたいんですね。一度冒されてしまうと絶対に抜けられない、そういう毒。だから、ノーならノーで別にいいけど、まだ僕らのライヴを観たことのない人には絶対1回見て欲しいし、そういう意味での自信はあります。1回1回命がけでやってますから。“これ逃すとヤバいよ”っていうのは常にあるかな」
--で、ツアー・タイトルが『カミカゼBOWZキドウタイ』。何かすごい武装をしてる感じが…(笑)。
「そそそ。でもこれを選んだ意味は特別ないんですよ。ただ言葉がカッコ良かっただけで。いわゆるカミカゼBOWZキドウタイ=CASCADEで、同時にそれは俺らを応援してくれてるみんなのことだよっていう」
--あ、みんなが隊員?(笑)
「そう、会場に来た人みんなが隊員(笑)。で、みんなで騒ごう、新しいところに行こうっていうね。何か今度のツアー、凄くいい予感するんですよ。やりたい衝動、放出したい願望がすごい高いし。鹿児島も初めて行くでしょう?福岡とはまた違った事が出来るんじゃないかってマジで楽しみなんです。もちろん、国際センターは国際センターでより多くの人に聞いてもらえる嬉しさがあるし、広くなればなるほど一体になった時の気持ち良さは凄いですからね。是非僕らのパワーに負けないよう闘ってくださいと。いや、マジ凄いんですよ!!!」
CASCADE LIVE TOUR 1998-1999 “喧嘩に来たぜ伊達男”
1998.12.22(tue)at:福岡サンパレス


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