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愛おしさで揺れる、赤い欲情。
先攻エクスタシー 初 1999椎名林檎 実演ツアー
1999.4.1(thu) at DRUM LOGOS
●text/Saori Nakashima ●photographs/Tomofumi Yamada |
後方ギリギリまで人が詰まった満員の会場。丈の短い黒のキャミソールにシースルーの赤いガウンを纏って、彼女は静かに歌い始めた。10代のありのままの感情すべてを曝け出したアルバム『無罪モラトリアム』から、まずは4曲。吐息混じりのハスキー・ヴォイスが4つの炎と共に熱度を放つ。惜しみ無い愛で溢れる密室の秘かな遊戯。眩しいほどの言葉の鎖が聴く者すべての心を縛る。「おかえり〜!」会場から優しい声援が飛ぶ。「うぃっす、ただいま帰りました。椎名林檎です」ちょっと照れた口調で彼女がそれに答える。「じゃあデビュー曲の中から1曲」『幸福論』のカップリング『すべりだい』が始まる。“あなたが8度7分の声を使うときは必ずあたしに後ろめたいことがあるとき”…そんな響きを素直に受け入れながらも一方では、ひどく嫉妬を感じる女の性。青く熟れた滑らかな言葉。一歩違えば危険な遊戯と成り果
てる、ギリギリの行為で紡いだ真実のロープは『罪と罰』『アイデンティティー』『モルヒネ』といった究極のソロリキウムの中で強く、芳醇な香りを放っている。完敗。負けだ。ええぃ、こうなったら喜んで彼女に服従してやる。いや、したい。させてください女王様。11曲目『歌舞伎町の女王』。ついさっきまで「脱がんよ(笑)」と言ってたガウンを床に放る。オォ!とどよめく客にここぞとばかり、ヘヴィな音色を叩き付ける。だが、厭らしいほどの自意識も欲望も彼女にかかれば、愛おしい真実。「言いたいことを文字やメロディで表現するという、その作業そのもので自分は自分だって言えたらいいのに」以前、彼女がインタビューで語った言葉の断片を目の前の情景に繋ぎ合わせてみる。まるでコートニー・ラブかアンジー・ハートみたいだねと言ったら微かに笑みを浮かべた彼女。本編最後は『ギブス』。写
真に撮られるのは自分が古くなるみたいでイヤという切実な叫び、そしてアンコールでファンとともに歌った『同じ夜』の清らかな願い。それらすべてを誰か(外界)とつながるための手段としている彼女の実直さに、胸を震わせ、たまらなく愛しい気持ちになったライヴだった。
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M-1.ここでキスして。 M-2.シドと白昼夢 M-3.正しい街 M-4.茜さす帰路照らされど… M-5.すべりだい M-6.罪と罰 M-7.警告 M-8.アイデンティティー M-9.クレイジーフォーユー
M-10.モルヒネ M-11.歌舞伎町の女王 M-12.積木遊び M-13.幸福論(悦楽編) M-14.丸の内サディスティック M-15.ギブス EN-1.同じ夜
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