文/なかしまさおり TEXT by Saori Nakashima
 
写真/ノニータ  

1998年、秋。アルバム『Buzz Songs』で勝ち得たひとつの状況証拠…オリコン初登場8位という、世代の“動かぬ共鳴”をして戦火の最前線へと躍り出た4人の戦士。その時すでに時代は彼らの“前に”では無く、“後ろ”に続いていたのかもしれない。軒並みソールド・アウトを繰り替えずGive&Takeのライヴ・チケット。膨れ上がるキャパシティ。そうした誰もが無視できない状況の中で、今年リリースされた3枚のマキシ『Let yourself go,Let myself go』『Grateful Days_『I・HIP HOP』が10位以内に同時チャート・インするという快挙は、もはや時代そのものがDragon Ashであるという事実を否が応でも認識させた。革命万歳!!まさに7月23日にリリースされた3rd Album 『Viva La Revolution』はそんな彼らの勝鬨である。だが、甘く見てはいけない。彼らはDragon Ash…“百合のしるしのもとに集まる真の戦士”、勝利の甘い余韻に酔って邀撃をやめるような輩ではない。9月20日マリンメッセ福岡…その華麗なる先陣の機略を今回、馬場育三(Ba)桜井誠(Drs)に語ってもらった。

  --今回のアリーナ公演はマリンメッセ福岡と横浜アリーナのみ。しかもDragon Ash“初”のアリーナってことで、何か凄いことになりそうですね。
馬場「つっても演る側自体はそんなに(笑)。ていうか、もうホントに純粋に売れちゃったからね。単純にDragon Ashが観たいというだけの人たちが増えて、その人たちがチケット買えればいいなと。例えば(赤坂)ブリッツとかで1回演って2千人?それを1万人が観るには最低5回演んなきゃいけないわけで。さすがに5ステージは出来ないっす(笑) 、無理無理!」
桜井「ていうか俺なんか常にヘッドフォンしてっからね。どんなに会場がデカくなろうとクリックしか聴こえないし(笑)」
馬場「サク(桜井)が一番つまんねぇな?ライヴハウスだろうがメッセだろうが…孤独だねぇ〜」
--といっても、追加公演の前には本ツアーでZepp Fukuoka 2Daysもありますね。そっちはアルバム『Viva La Revolution』がメインになるんですよね?てことは、追加公演は内容的に何か変わったりするんでしょうか?
馬場「どうなんだろうね、すべては建ちゃん(降谷建志)の気分次第で(笑)。飽きて来たから全部変えるって言い出すかもしれないし、面倒臭いからそのまんまやるっていうかもしれないし…(本ツアー自体)今悩んでるところではあるんだよね。ヒット曲っていうか、絶対演奏しなきゃいけない曲が増えてきちゃったから…」

--観に来る人の期待に応えなくちゃいけないかな、と?
馬場「うん。でも、だからと言ってこれまでもご期待に応えて来たことってあんまりないし、そんなに親切なバンドでもなかっただろう!みたいなところもあって(笑)」
--その“演らなきゃいけない曲が増えた”ってことは結局、言葉を変えれば “売れた”ってことでしょ?で、その売れたことで“状況的に”変わってしまった部分ってやっぱりあります?
馬場「やっぱほら…Dragon AshがMC2人に女性ヴォーカル1人のバンドだと思ってる奴もいるわけじゃない?サクは大学生なんですか…とか当たり前の事とかを知らない人とかいっぱいいて。中にはテッちゃん(BOTS)がつのだひろの息子ってホントですか?とか(一同大爆笑)。面白すぎるぞ、それ!みたいな。まぁ、最近はそういう事も笑い飛ばせるようにはなったけど、あんまりしつこいとなぁ…。それにヒットつってもさ、1年かけてちょっとずつ記録を伸ばしたってとこあるじゃない?でも周りから見たら…例えば駅伝中継やってるチャンネルがあったとして、それまでチャンネルを合わせてなかった人たちは“なんだよ!いっきなり1位じゃん!”みたいに思ってて。でも俺らはどん尻から、ビクターハッピーハウスってたすきを掛けて地味に上がっていったわけじゃん。そのギャップはあるよね。
桜井「だから、今、来る雑誌とかも面倒だよね。初めてだと“バンド名の由来は”とか、まずはそういうところから来るし…」
馬場「最近は“『Viva La Revolution』ってどういう意味ですか?” って聞くから“私はバナナが好きですって意味”と答えるようにはしてるんだけど(笑)」
--その『Viva La Revolutionについてですけど、前作『Buzz Songs』がいまだにヒットを続ける中での新作ってことにプレッシャーみたいなものはなかったですか?
馬場「ないね。少なくとも俺とサクは無かった。…ただ建ちゃんはあったと思うよ。でもそれはしょうがないよね。別に俺もサクもヒップホップやってるつもりは全然なくて。ただラウドな音楽を、メロディが良くて歌詞が良い音楽を演ってるっていう…それを建ちゃんがヒップ・ホップっていうんだったらそれでもいいじゃん。って」
--でもその降谷君にしても完全にヒップ・ホップオンリーではないですよね?パンクも演りたいというか…。
馬場「うん。多分、それが俺たちがいる存在理由のひとつなんだよ。パンクも好きだし、ギター持って歌うのも捨てられないっていう」
--どことなくクラッシュっぽい軌跡ですよね。ま、方法論は違うんでしょうけど、今回はレゲエ調もあって…。
馬場「あ、そうだねぇ。でも、多分建ちゃんはクラッシュ自体を知らないと思うね(笑)。如何せん彼のパンクはブルーハーツとグリーンデイだから」
--でも馬場さんと桜井さんの『Nouvelle Vague』はやっぱり狙ってたんですか?
桜井「あれは、あれだね(笑)」
馬場「歌詞付き、メロ付きの曲で建ちゃんにかなうわけがないでしょ!」
桜井「“バンド内勝負”してもしょうがないしさ。最初から勝負見えてるじゃん(笑)」
馬場「だから全然、闇討ちっぽいようなのでいくしかない。飛び道具だよね、あれは」


--じゃ、そういう2人のポジションから見た今回のアルバムは?
馬場「バンド単位で見ればタイトルもそうだし、歌詞の内容もそうだし、すごい意味がある感じになってるじゃない?でも別にそれは俺たちが意識しているわけではなくて、舵をとってる建ちゃんが言うべきことで。俺たちとしてはベストを尽くすしかないっていう」
--ライヴで早く演ってみたい曲とかあります?
桜井「俺的にはキツイけど『Drugs can't Kill tees』とか。演りたくないけど、盛り上がるだろうな(笑)」
馬場「ライヴねぇ…みんな好きだしなぁ。『Viva La Revolution』は演りたくないっちゃあ、演りたく無いねぇ」
--え、どうしてですか?
馬場「いろいろ、ほら…込み上げてきて(照笑)。『陽はまた〜』で泣き出すくらいだから、もあれはヤバイって。もう3回くらい泣いてるからね。仮歌で泣いて、本チャンで泣いて、上がったテープを家に持って帰って泣いて。今はいい加減慣れて来たから泣かなくなったけど、それは単に歌詞を聴き取らないように弾いてるだけで」
--聴くとやっぱり重ね合わせちゃう…
馬場「そう。重ね合わせちゃうとやっぱダメだなぁって。没頭できないね、目から汗が出ちゃうから(笑)。だからあれは、したいようなしたくないような…するんだったらのっけからサッと演ってスルッと終わらせたい」
--では最後にアリーナ公演に向けて一言。
馬場「え〜と…ダイブしたい人は来ないでください!!」
--え!?“来ないでください”…ですか?
馬場「うん(笑)。別に俺らダイブしていいって言ってるけど、逆にダイブする客ばっか来ればいいとも思ってないし。この前(インターネットの)掲示板で見たんだよ。初めて俺らのライヴに行ってメガネ壊されちゃって“もう来ません。これからは家で応援します” とか。可哀想じゃん?生まれて初めて来たライヴがそれで、メガネ壊された、自分の女蹴飛ばされた…そりゃ怒るって!」
桜井「前に来たい気持ちも分かるけどね。そういう危険な場所だっていうのを知って…というか教えとかないと」
馬場「今、よくサクと言ってんだけど、メガネの子はコンタクトに、コンタクトに出来ない事情がある人は水中メガネに度が入ってるやつをつけて来いと。それこそダイブっていうぐらいだから海パンとかで泳いでくれたら面白いのに。…水着で来るやついないかな?」
桜井「いないって!でも今度は水中メガネの跡が顔についたりしてね。“パンダみたいになりました。もう一生来ません!”とかね、書かれてたりして(笑)」
馬場「あと、これぐらい売れてきたらさ、ステージの上から“脱げ”とか言ったら脱ぐかな?(…以下、延々と、面白いけど超くだらないヌーディスト・ライヴ構想の話で盛り上がるが、誌面がないのでまた後日!)」

--でもDragon Ashの場合、危険だったらメンバーが演奏を止めてでも客を注意しちゃうという…(笑)
馬場「そうそ。俺、指さして言うもん!でも俺はプールの監視員じゃないっての(笑)。だからダイブしたい奴もいればしたくない奴もいて、する権利もされちゃ嫌だっていう権利もあるんだから、怪我しないようにケンカしないように、始まる前にちゃんと“ダイブしていいっすか”って周りの人に確認すること!あと履くならせめてコンバースね。ブーツ履いてる奴はダイブ禁止!」
桜井「ホント、ケガ人出たらアリーナで2度と出来なくなっちゃうから。あとはアルバムは必ず買って聴く!」
馬場「そうだね、韻はみんなで踏めるようにして来いと」

--はい。では皆さんも体調を整えて来てください。

9月20日マリンメッセ福岡。Dragon Ashと共に闘う戦士はもちろん、その時代の空気を共有したいと願うすべてのFriendsたちへ…その日、戦塵の中に強く咲たるフラ・ダ・リ(百合の紋章)のもと、集うことを願ってやまない。
NEW ALBUM
『Viva La Revolution』
\3,045(tax in)/ビクターエンターテインメント
NOW ON SALE

馬場育三コラムclick!