文/熊谷美広 TEXT by Yoshihiro Kumagai
写真/山田トモフミ   PHOTO by Tomofumi Yamada

 


日本を代表するデュオ・ユニットの
CHAGE&ASKA。
彼らは96年からグループとしての活動を休止し、
それぞれがソロ活動を行っていた。
そしてデビュー20周年に当たる今年、
アルバム『NO DOUBT』で3年ぶりに
活動を再開した。
今年の大晦日には、福岡ドームでの
2000年へのカウント・ダウン・コンサートも
ひかえている。
3年間の期間を経て、
そしてデビュー20周年を迎えて、
彼らは、どこへ進もうとしているのだろうか。


  CHAGE&ASKAを3年間休止して、それぞれがソロ活動をしていたわけですけど、この3年間というのには、どういう意味があったのでしょうか?
ASKA:実は去年、CHAGE&ASKAの活動を再開する予定だったんです。でも去年の状態では、ソロを始めたときの感覚と変わっていなくて、それだったら何も変わらないな、もう1年延ばしてみようかということで、3年になったんですけど、『NO DOUBT』を作って、納得のいく作品ができたので、あ、このための3年間だったのかという気持ちですね。
CHAGE:CHAGE&ASKAというのは、進化していくグループだと思っていますし、進化し続けなきゃいけないと思っていますから、それを形にしたいんです。20周年っていって思い出にひたるのもいいかも知れないですけど、やっぱり前に前に進みたいですから。
3年間の間に、それぞれ変わったなというところや、変わらなかったなという
ところはありますか?
ASKA:基本的に、そんなに変わった部分はないと思います。ただソロ活動というのは、責任であったり、その瞬間のジャッジだったり、いろいろなことが要求されますんで、それを経てまたふたりになったときに、強いムードがでてきたなと感じますね。
CHAGE:3年間ずっと会ってなかったわけじゃないから、ぼくらふたりの間では久々という感じはそんなにしないんですけど、『NO DOUBT』を作るにあたって、ふたりで“CHAGE&ASKA”を作ろうよという意識があったので、CHAGEとASKAの共同制作というのはできたような気がします。この3年間は、『NO DOUBT』を作るための3年間だったと言い切れるし、今、気負いがなくやれてるなという感じがしています。周りの人のほうが、かえって期待感みたいなものがあるようなんですけど、本人たちは、自然にそれを楽しんでいるという感じがありますね。
『NO DOUBT』って、いい意味で肩の力が抜けた作品になっているような気がします。
CHAGE:等身大になっているよね。3年ぶりの1発目になるシングルの「この愛のために」や「vision」を書いているときは、まだ自分たちの中で、CHAGE&ASKAを探りながら書いているような気がしたんだけど、ASKAが「群れ」を書いてきたときに、あ、こういう色CHAGE&ASKAにはいいのかも知れないというのがお互いに確認できて、それで『NO DOUBT』の方向性というのが、バンッと開けましたね。
ASKA:今の音楽って、若い者の所有物っていうか、歳を取っていくと音楽を聴かなくなるし、ましてや、CDとかを買ってまで、音楽を聴くことがなくなっていくじゃないですか。でもそうさせてしまった原因というのは、ミュージシャン側にもあると思うんです。そういう意味で、今の年齢から出てくる音楽というのが等身大であって、同世代で、価値観をぼくらと共有できる人の胸を打たないでどうするんだという意識っていうのがあります。今回のアルバムに“大人”を感じるという感想をよく聞くんですけど、そういう意見が出てきたときに、達成できたんだなという実感が湧いてきますね。
アルバムを聴いて、媚びてないな、と感じました。
ASKA:自分たちの“今”を、ちゃんと満足いくように表現したいんです。もちろんチャートなんかも大切なんですけど、それは現れることであって、引き出すことじゃないと思うんです。自分たちが満足したときに初めて次に進めるわけだし、いわゆる“グレイ・ゾーン”に向かって歌いかけるような作品作りはやめようっていう意識は、ここ数年強くなってきましたね。今、ぼくたちって、難しい年代だと思うんですよ。若くもないし、超ベテランでもない。そのちょうど中間地点よりもちょっとベテランに寄っているぐらいだと思うんです。じゃあそのポジションの中で、自分たちが何を表現していけばいいんだろうっていう難しさというのは、あると思いますね。でも思い切って、2〜3年この状態を続けて、ここを越えると、また色々なものが見えてくると思います。
CHAGE:“CHAGE&ASKA”とはこういうものだ、という固定観念を、今自ら壊そうとしてますから。昔をなぞるだけだったら、絶対に面白くないですからね。常に前を向いて進んで行かないといけないし、そのためにはどうしたらいいかということを、考えているんです。
でもグループによっては、ソロ活動をしてからまた集まると、それぞれの違いがはっきりしてきて、ギクシャクする場合もあると思うんですけど。
ASKA:ギクシャクしましたもん、ぼくたちも(笑)。でもそのギクシャクしたムードを、素早く感じ取ることができたから良かったんでしょうね。最初、ふたり別々のスタジオに入って作業していたんですけど、“これは違うぞ、ふたりでCHAGE&ASKAをやろうぜ”という開き直りが「群れ」あたりから出てきて、アルバム・タイトルも『CHAGE&ASKA』でもいいじゃないかという意識で進んでいきましたからね。お互いの楽曲に、臆せず口を出していくというのを、今まではタブー視していたんですけど、そういうこともできる年齢、時期になったんだなという感じがします。
ふたりの考える“CHAGE&ASKA”に対する思いが、重なってきた、と。
ASKA:そうですね。CHAGE&ASKAのサウンドではなくて、CHAGE&ASKAという存在への思いという発想かもしれませんね。
活動再開した年が20周年で、しかも1999年だったというのは、偶然なのですか?
ASKA:ぼくたちがデビューしたのが79年なんですけど、その時に20年後に2000年のカウント・ダウンをやるなんて、考えもしなかったですからね。
大晦日に福岡ドームでカウント・ダウン・コンサートをやるというのは、どういう感じがするものなのですか?
ASKA
:今までぼくたちは、ドームではコンサートをやってこなかったんです。4万人、5万人のお客さんが集まっても、音の問題とかで、そのうち3万人ぐらいのお客さんが不愉快な思いをしてしまうのではないかという意識があったので。ちゃんとコンサートをやれる方もたくさんいらっしゃいますけど、ぼくらの場合は、なんとなくやれそうなムードじゃなかったんです。でも今年の12月31日というのは、2000年に向かっての特別な日でもあるし、コンサートという括りではなくて、みんなで集まって2000年を迎えようという、ひとつのイヴェント的な催しができればいいなと思っています。それに福岡はぼくらの生まれた土地でもありますし。

CHAGE:20年前、初めてやったコンサートが福岡市民会館でしたし、20周年の今年の締め括りを福岡ドームでできるというのは、とても楽しみですね。今年っていうのは、1000年に1回じゃないですか。1000年前というと、鎌倉幕府が“1192”だし……(笑)。自分たちがそれをリアル・タイムで体験できるということ、そしてその瞬間を音楽でみんなと一緒に共有できるということを、とても楽しみにしています。今回のドームでは、CHAGEとASKAのそれぞれのソロと、CHAGE&ASKAという3部構成にする予定です。
ASKA:これまでソロというのは別物と考えていたので、それを一緒にやったときの魅力って、どういう風になるんだろうということを、今模索しています。問題は、どっちのソロを最初にやるか、ということですね。
CHAGE:それによって、どっちかが、続けてステージをやらなきゃいけなくなるわけです。だから今、トップ・バッターをどっちがやるかで揉めてます(笑)。トップ・バッターのほうが楽なんで(笑)。
ASKA:あと、デヴィッド・カッパーフィールドを呼ぼうという話もあるね(笑)。
CHAGE:今、ホワイト・タイガーを探しています(笑)。

20周年の締め括りを福岡で迎えるということに、“原点回帰”というような意味合いはあるんでしょうか?
ASKA:フレーズとしては、使えるとは思いますけどね。いろいろな人に“福岡ってどういう街ですか”って聞かれるんですけど、そのときに、今更福岡に向かって、愛情がどうのとか、福岡のいいところを語る気持ちはありませんって言うんです。ただ、生まれて育った街だから好きなんです、という括りでしかないんですね。でもその気持ちは大切だと思うし、そこに色付けすると、かえって嘘っぽくなるんですね。生まれて育った街というのは大切じゃないですか。そういう意識をなくしたくないというだけですね。実はデビューして4〜5年は、福岡のコンサートがどうしてもうまくいかなかったんです。どう表現していいかわからなくて。知り合いも来ているし、成長した自分たちを見せたいなという気負いがあったりすると、なんか他のところと違うんですね。でもある時期から、プロフェッショナルとして、福岡という街に来てライヴをやるんだという意識に切り替えたときから、いいコンサートができるようになりました。だから育った土地で何かを表現するというのは、難しいことなんでしょうね。

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『NO DOUBT』

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