文/なかしまさおり TEXT by Saori Nakashima
写真/山田トモフミ   PHOTO by Tomofumi Yamada

 左右に吊られたスクリーンの中で、巨大な百合の紋章が紅く--そう、どこまでも紅く燃え上がった瞬間、マリンメッセは時代の闇と闘う征野のように、熱く激しくヴァイブしていた。会場に響く壮大な『Intro』。アリーナ規模のオールスタンディング・ライヴとしては史上最大数のキャパ、1万4千人の怒号のような歓声が闇を劈き、降谷建志を迎え入れた。
<Dragon Ash brand new generation,We got beat to communication>--アルバム『Viva La Revolution』の流れを汲んで歌い出された『Communication』の歌詞を聴きつつ、思わず涙で視界が霞む。悲劇の…いや、今となってはある意味“いい思い出”として笑い合えるであろう98年8月のLOGOS。「やっぱどうしてもタイム・ラグとか距離の遠さを感じんだよね」なんてボヤいていたのが夢のようだ。「マリンメッセ、メンソーレ!」(翌日からの沖縄オフが相当楽しみなのか)ちょっとフザけた挨拶の後、『Rock the beat』がガツンと鳴った。いや、夢なんかじゃない。タイム・ラグ?距離の遠さ?本当はそんなものなどどこにも無くて、 あの時「KIDS ARE ALRIGHT!」と叫びたかった戦士に、あと少しの勇気があれば良かっただけ…それだけの話なんだ、おそらく…きっと。
7曲目、レゲエ仕様の『Public Garden』では降谷がハンド・マイクをギターへとチェンジ。 同じく横揺れ系の『Dark cherries』、DJチューンの『Nouvelle Vague』で、しばし会場をクール・ダウンさせた後、ラスト7曲、怒濤のダイヴとモッシュの嵐で染め上げていく。
彼氏の肩車で楽しそうに両手を上げる女の子、人の倍以上の跳躍力でジャンプを繰り返すキッズ。当然、前方ブロックからは無数の人間ロケットが発射され、スタンド席のレスポンス・ヴォリュームも最大音で鳴り響いている。今となっては嘘のようなホントの話、2年前の初インタビューで「あ〜、ダイブとかは全然ないね。別にやりたい奴がいるならやってもいいけど、うち女の子(の客)が多いから」って笑ってたのは誰だったっけ(笑)?
そして続いたアンコール。「目が悪いから、分かるようにダイブしてください」とさらに客席を煽る降谷。
『FUTURE』、『HOT CAKE』。 8月のZepp 2daysでは両日振り分けての演奏だった2曲が続けて披露され、なんと『HOT CAKE』にいたっては「マコトね、1万4千人のみんなとHot Cakeが食べたいな(はぁと)」という、あの桜井のキュートな名ゼリフから始まったのだ。さらに「せっかくこんなに集まったんだから、もう一騒ぎしようぜ!」と馬場と降谷が代わる代わる両翼のお立ち台へと駆け上がっての『Iceman』をサービスすれば、本編以上の熱気と汗がそこいらじゅうに滴り落ちた。
アリーナど真ん中。そこから見渡す光景はまるで曼荼羅絵図のようにも見える。普通、大きな会場になればなるほど、大体1割ぐらいの客は斜に構えて静観してたりするものなのだが、ここまで見事に“全員がノッてる”状態を見せつけられると、まさにこれは異体同心の奇跡じゃないか?とさえ思えてくる。そういえば“ダイヤモンドの結末は宝石屋にもわからない”とかつて歌ったバンドがあったが、この日アンコール・ラストの『Fever』で降谷がみんなに贈った言葉--「あなたたちに感謝して歌います」--はいつしか、そのダイヤモンドの結末さえも教えてくれるような気がしてならない。<それぞれの場所でそれぞれの奇跡 起こしうる力秘めた宝石>--その日、僕らの胸の中には名も無き小さな原石がコロコロと音を立てて転がっていた。
M 1. Intro/M 2. Communication/M 3. Rock the beat/M 4. Humanity/M 5. Attention/M 6. Let yourself go,Let myself go/M 7. Public Garden(ragga mix)/M 8. Dark cherries/M 9. Melancholy/ M10. Just I'll say/M11. Drugs can't kill teens/M12. Fool around/M13. Mustang A Go Go!!!/M14. Freedom of Expression/M15. Viva la revolution/EN-1. FUTURE
EN-2. HOT CAKE/EN-3. Ice man/EN-4. Fever