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井上陽水コンサート1999〜  1999.10.12(Tue) at 福岡サンパレス
●text/Saori Nakashima ●photographs/Tomofumi Yamada

 「こんばんは井上陽水です。ごぶさたです」白いシャツに黒のパンツ。デビュー30年間の集大成『GOLDEN BEST』をリリースした井上陽水氏のツアーはそんな何気ない佇まいの中、スタートした。
ピアノ、ギター、ボンゴにシンセ…etc.バックには7人のツアー・サポート・メンバーを従え、3曲演ってのこのMC。場内から一斉に温かい拍手が湧き起こる。
ちょうど父や母の世代と同じ、70年代前半に青春時代を過ごした顔がそこにはある。余計なモノなど何も要らない。ただ、ただその人の歌声を聴くためだけに集まった無垢な大人たちの浪漫な星霜。いや、考えてみれば初期のそれには間に合わなかった世代も、80年代の中森明菜、安全地帯あるいは90年代のPUFFY、奥田民生…と実は多くのフィルターを通して“リアル・タイム”であるわけで。そんな老若男女のリスナーたちが時と場所を共有しうるこの空間の素晴らしきこと。つくづく、井上陽水という人の“歌”の凄さを感じずにはいられない。
「Don't Think Twice,It's All Right…」--10曲目『Tokyo』が終わって、椅子に掛けつつボブ・ディランのナンバーを口ずさんだ陽水氏。「“くよくよするな”っていう邦題がついているんですけどね…」と言いつつ、何故か続く話題は筑豊で過ごした幼少時代の話へ(笑)。そう、そう、そうなのだ。ここであくまでも“あれ?ディランの話の続きは?”などとわざわざ客に勘ぐったりさせないところが陽水氏の魅力。歌は歌然として聴かせてくれればそれでいいという雰囲気が会場全部に満ちているのが、何とも心地良いひととき…。
だが、一変、13曲目『傘がない』でドラムとピアノがバンッと鳴れば、その場はキュッと瞬時に緊張。加えて『娘がねじれる時』での妖しげな炎、小気味良いリズムとアコーディオンの音色に彩られた『ワカンナイ』での意味深な記号…と、2台のプロジェクターを使っての巧みな投影術が施されれば、心はすっかり陽水ワールド。
そしてアンコール。本編ラストの『結詞』ではしっとりとした余韻を残して去った陽水氏が、沸き起こるアンコールの拍手に再びステージへと姿を見せれば、客は一気に総立ち状態。『HAPPY BIRTHDAY』『夢の中へ』とまさに“GOLDEN BEST”な熱気を湛えてライヴは終了したのであった。


M-1.少年時代/M-2.アジアの純真/M-3.Make-up Shadow/M-4.帰れない二人/M-5.リバーサイド ホテル/M-6.氷の世界/M-7.ジェラシー/M-8.とまどうペリカン/M-9.いっそ セレナーデ/M-10.Tokyo/M-11.カナリア/M-12.いつのまにか少女は/M-13.傘がない/M-14.嘘つきダイヤモンド/M-15.娘がねじれる時/M-16.ワカンナイ/M-17.最後のニュース/M-18.タイランド ファンタジア/M-19.ワインレッドの心/M-20.クレイジーラブ/M-21.なぜか上海/M-22.結詞
EN-1.HAPPY BIRTHDAY/EN-2.夢の中へ