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ステージ中央に置かれたマイクとギター。その後ろにピアノ。右には見慣れない楽器とは思えない機械*。たったこれだけで高野寛は会場を魅了してしまう。昨年行われたツアーも、一人きりのステージだった。今回はこれで何をやろうというのか。ひっそりとしたステージを見ながら勝手に想像は膨らんでいく。
チェックのシャツ+チノパンというラフなスタイルで彼が登場し、オープニング『新しいカメラ』を弾き始める。もちろんサビは「福岡・博多」に変えての熱唱。のっけからの変化球に会場が静かに盛り上がる。M-3『1.2.3.4.5.6.7days』とM-4『Beautiful』は新曲。彼はM-4をキムタクのために作ったと発表。しかし、自ら「キムタクからの依頼は来てません」とオチをつける。
彼の話とそれに応える会場を見ていると、強い信頼関係が伝わってくる。それが適度なユルさを醸し出して、なんとも心地いい雰囲気となり会場を包み込んでいる。
M-6『DAN DAN』・7『皆既日食』でピアノを披露し、M-8『こだま』では、テーブルとそこから突き出た棒のシンセサイザー(?)ような楽器*で幻想的な世界へと誘う。懐かしいヒット曲M-12『ベステンダンク』で会場の照明が明るくなると、それまでお行儀の良かった会場も体を動かしたくてウズウズしている。それはM-13『何も知らないで生まれて』が「福岡・イムズホール」ヴァージョンで爆発。総立ちとなった会場はさらに盛り上がる。最新シングル『Bye
Bye Television』で本編は締められた。アンコールは『虹の都へ』、『All Over,Starting over』、そして会場からのリクエスト『夜空ノムコウ』と続く。『夜の海を走って月を見た』を歌い終え、彼はステージを後にした。しかし、もっともっと彼との時間を共有したいファンが再びアンコールを求める。予定外のアンコールは高橋幸宏のアルバムに収められている『流れ星をひとつ』。彼は大きく手を振りながら、なごりおしそうにステージから去った。
たった一人で会場を沸かせた彼。イタリアではワクワクさせる人、会場を魅了する人のことをファンタジスタと呼ぶ。この夜の高野寛はまさにそれだった。異常なくらいに盛り上げたわけではないが、会場を引き上げる人の顔には良いライヴを見せてもらい、楽しんだという表情で溢れていた。
※この楽器はテルミンといい、1920年代にロシアのレオン・テルミン博士が発明した電子楽器の元祖らしい。2本のアンテナにかざした手の動きでいろんな音を出せる。プレイ中、彼の手の動きはかなり怪しかった。
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