WEB BEA VOICE Vol.256 TOP  BACK NUMBER  ARTIST INDEX  BEA-NET


 ●インタビュー・構成/なかしまさおり

 7月26日にリリースされたNew Album『8』。前作から約2年5ヵ月という長い長い時間の中で、着々と進化し、また新たな方法論を掴み取った今作の軌跡について、エマとアニーが語ってくれた。
--今回のアルバムは特に“SPRING TOUR”での方法論が活かされた作品ではないかと思うんですけど、ここ1年間における外部プロデューサーとのコラボレイトも含めて、制作に入る前の段階で何かコンセプトみたいなものは、あったんでしょうか?

エマ「いや、これがホントに面白いもんでね、最初は何も無かったんですよ。まぁ、『バラ色の日々』とか『聖なる海とサンシャイン』を録ってる頃にも“最終的にはアルバムに”というのはあったんですけど、それも、そういうふうに単発で密度の濃いモノを一杯録っていけば最終的に良いモノになるだろうぐらいの予測でしかなくて。ただ、作業をしていく中で形面変化っていうか、新しい武器も手にしたし、自分たちのやりたい事がだんだん明確に見えてきて、最初は“まとめればいいだろう”ぐらいに考えてたものが、ある色にしたいという欲望になってきた」
アニー「やっぱり(アルバムを)録ってる時っていうのは『バラ色〜』と『〜サンシャイン』から半年以上が経ってるわけで、出したい音というのも変わって来てるし、リミックスだのリマスターだのをやってくうちに何かひとつのカラーになっていった感じ。ただ、それもやろうと思って出来たモノではなくて良い音…ホントに良い音出したいよねっていう、そういうひとつの怨念(笑)みたいなものに集中することで出来たという」
--例えばこう、先にキチッとした道路を作って、それに似合った建物を建てようとか、景観を整えようとかではなく、自然と歩いてきた、踏みしめて来た部分が道というか、ひとつの流れになった、みたいな?
アニー「あ、そう、そう!その流れ、うん、うん。例えば『バラ色〜』と『〜サンシャイン』から始まって、どんどん変わってくじゃないですか。でも、まるっきり録り直してるわけじゃなくて、リズム・トラックなんかは半年前の音そのままなんですよ。だから歩いて来た過程っていうのも全部そこには入っているんだけど、それも踏まえた上でのここ1年間の流れと終着点、それが音になって入っている、と」

--そういう意味では今まで以上に濃いアルバムですよね。
エマ「うん、濃いですね。重たいです。やっぱり今まではすごい短期間でアルバムを作ったりとかして…もちろん、その短期間でのモードをアルバムにするわけなんですけど、その後にまたツアーやったりして、曲も成長して行くし、自分たちもその曲に感化されてまた違う表現力が付いて来たり。でも、今回っていうのは逆なんですよ。それまでの過程がアルバムに集約されてる感じ。だから重量感があるっていうか、アルバム出してツアーが終わった時の充実感みたいなものがもう達成されちゃってる気はするかなぁ(笑)。正直、“PUNCH DRUNKARD TOUR”の後はサウンドの方向性、バンドの楽曲の方向性っていうので煮詰まってたし、そういう時に色々なプロデューサーとやってアイディアとか刺激をもらったというのは良い経験になったし」
アニー「うん。ただそれで気付いた事はやっぱり…僕なんかは特にそうですけれども、プロデューサーにお願いすれば後は何とかまとめてくれるだろうみたいな、そんな甘い気持ちがちょっとあったんだけれども、最終的には自分が出したい音を出していないとどうにもならないんだっていう。そういうのをホントにここ1年のシリーズで気付かせてもらった気がして、自分の中でも歴史に残るというか、そいういう1年でしたね。やっぱり人間って単純に何も無いところからモノ作るわけじゃなくて、想像力があってそこに答えを求めて作ったりすると思うんですね。だからその想像力の素…今回は“音への執着”っていう強い意志だったと思うんですけど、それがきちんと形になってるのがこのアルバムで。そういう意味では今までよりもさらに一歩踏み込んでるな、と」
--音への執着で思ったんですが、今回はプリ・プロ(ダクション)のテイクを採用した曲(『パール』、『ジュディ』など)もあるそうですね。
アニー「うん。それは多分、自分の中で音楽に対する比重をどこに置くかがすごい変わって来てるからだと思うんですね。例えば『峠』はプリプロ以前のリハーサル・テイクで(笑)。そこにはその日にあった事とか、その日その時間にしか存在し得なかった空気感とかが入ってる。だから今それと同じ状況で演れって言われても2度と録れないし、そういう…スネアの音色、キックのタイミングとかっていうのも大事だけれど、それよりも音楽を演る時のマインドだろうっていう部分ではOKテイクに出来るジャッジメントの許容量が広がっている」
エマ「あとやっぱりね、アニーとかヒーセとかのリズム隊は(外部の)プロデューサーと仕事をしたり、“SPRING TOUR”のリハーサルで自分をかなり鍛えてるんですよ。だから(『峠』のような)空気感っていうのも、そういう努力があってこそ出るわけで、まぐれとは違う」
アニー「うん。そういう音楽に対する基礎体力は自分でももっと鍛えていかないと、と思いますね」
--他に作業的に印象に残った曲とか、あります?
エマ「僕はね『GIRLIE』。ロンドンでジョン・ジェイコブスっていうプロデューサーと作業したんですけど、ギターの録り方が今までの自分と全然違う。とにかくPro Toolsにひたすら録りまくって、もう2日間くらいギター弾きっ放しで疲れたんですけど(笑)楽しかったし、思い付いたアイディアをどんどん録っていくっていう、そういう方法もありだなと勉強になった。ただライヴでは多分、再現不可能なギターを弾いていると思うので…」
アニー「出来ないんだ(笑)?!僕はですね『STONE BUTTERFLY』。ロン・セイント・ジャーメインというアメリカの大御所プロデューサーとやったんですけど、彼自体はもちろん方法論がかなり豪傑。特に歌の部分で、大太鼓…普通、バスドラって20インチなんですけど、40インチのこんなデッカイの持って来いって言われて、それを階段で叩けと(笑)。でも、自分たちで演ったら出て来なかったアイディアだし、楽しかったですね」
--そういう意味では、またそういう新たな方法論を手に入れたTHE YELLOW MONKEYが今後どんな音を聴かせてくれるか楽しみですね。
エマ「うん、道はまだまだ長いからね(笑)。とにかく今はここ1年ぐらいのTHE YELLOW MONKEYの答えがね、このアルバムになってると思うんで、変な深読みなどせずにね…まぁ九州の人だったらそうしてくれると思うんだけど、素直に受け止めて下さいと」
アニー「うん。やっぱ正直なアルバムになったんで、正直に受け止めて楽しんでいただければ嬉しいなと思いますね」 (7月7日CROSS FM本社スタジオにて 写真/山田トモフミ)。
New Album
『8』
\3,059(tax in)/BMGファンハウス
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