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「ようこそ、クラブ・ヘミングウェイへ!」。今井美樹は長い手をのびやかに広げ、深々とおじきをした。
8月には1年9ヶ月ぶりのニューアルバム『太陽とヘミングウェイ』をリリース。そして満を持しての全国ツアーだ。彼女自身、大きな人生の節目を迎えた1年以上の年月。幕が開き、堂々と胸を張るシンガーとしての姿には、立見まで出た客席から「お帰りなさい!」と温かい拍手が惜しみなく寄せられる。
今回の舞台設定は、とある南の島。今井美樹は、名うてのミュージシャンが集う伝説のビーチサイドバー『クラブ・ヘミングウェイ』に招かれた、ゲストシンガーなのだ。久々のコンサートにふさわしい、何ともドラマティックな演出じゃないか。
ステージ第1部は『月夜の恋人たち』で始まるムーディ・ヴァージョン。スラリとした肢体を包むのは、シルバーを基調としたセットアップドレス。しかし、曲が進むほどにハリが加わっていく透明感のある高音に、彼女のカリスマ性はこの歌声が支えているのだと確信する。特に後半のせつない女心を謳った『半袖』から、女性ファンの間で根強い人気の『Ruby』を経て、ご存知『PRIDE』までを一気に歌い上げたくだりは圧巻。“あなた”へ向かって綴られる“わたし”のモノローグには、思わず涙する女性客も多い。さりげないイントロから吸引力あるサビへと上昇するエモーショナルな歌声は、情緒の定まらない心へと差し伸べられる、やさしい手だったりするのだ。
休憩をはさんで第2部のステージは、満月の夜空から一転して青空のビーチへ。衣装も黒いカットソー&スリムパンツにチェンジ。「ここからはパーッとアクティヴにいきます!」と言うが速いか、会場も一気に盛り上がる。アップテンポな『恋をしよう』、『WILD
BOY』、『愛はメリーゴーランド』で時にシャウトし、飛び跳ね、3階席までめいっぱい手を振る愛嬌たっぷりな“ミキちゃん”に、客席も湧き躍る。初期の名曲『幸せになりたい』では、余裕たっぷりな歌い回しでアーティストとしての成長をしっかりとアピールしてくれた。そして「この曲を一時もはやく、みなさんの前で歌いたかった」と告げられた、2部のラストソング
『Goodbye Yesterday』。先端までみずみずしく澄み渡る声や表情から、歌うよろこびが伝わってくる。
太陽の下、新しい道を笑顔で歩き出した今井美樹。彼女は、アンコールを終えて去り行く後ろ姿までも凛とした、間違いなく美しい女性(ひと)であった。
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