文/森裕史 TEXT by Yu-shi Mori
 写真/山田トモフミ  PHOTO by Tomofumi Yamada
熊本在住の、若き3名の男女からなる「それでよかったのか?」本誌初登場。地元熊本ではワンマンで250名もの動員力を誇る人気バンドだ。人を喰ったようなネーミングセンスは、「名前やタイトルなんてのは後からついてくるもの」と言わんばかりに威風堂々、インタビュウの応答は、かのビートルズが初めてアメリカ上陸したときにプレスの前で見せたような、テンポがあって茶目っ気たっぷり。あの感じ。兄弟のような阿吽の呼吸。若さ、といってしまえばそれまでかもしれんが、それだけではない。ちなみに、メンバー全員の共通項が「ビートルズ好き」ということだが、深読みは禁物。

part1)ギターの代わりにキーボードで 大丈夫かなぁ、くらいの」

高島
「私とドラムのりんがコピーバンドをやっていて、最初5人編成だったんですけどベースの人が抜けるというので、池田の方が後から入ったんですよ。で、ちょっとした事情により解散した、残りの3人です」
---何のコピーバンドやってたんですか?
高島「ジュディマリ、とか・・・私はその時は歌ってないんですけど」  池田「付き合ってたんですね、やめた2人は(笑)」  高島「よくバンドにありがちな(笑)」
---いつも2人で決めやがって、と(笑)
高島「や、なんかごちゃごちゃなるんですよ(笑)」
---それは、高校時代の話?高校は?
高島「私と、りんは一緒で、九州女学院高校という、森高千里が通ってた・・・」  池田「僕は、郡部です」
---小国、とか?
池田「あ〜そこまで行きませんけど・・・玉名」
---あ、玉名
池田「笠智衆が、玉名高校の有名人で(笑)」
---で、残ったメンバーで再スタートしようか、と。その時のコンセプトっていうのは?
全員「全然、ないですね」
---とりあえずやろうか?と
高島「高校生バンドだし、ま、音楽やりたいなと」
---で、よくインタビュウなんかでも聞かれると思うんですが、このバンド名は?やっぱり若気の至りで?
池田「(笑)そうです」
---それで載っけていいんですか(笑)
全員「(笑)いいです」
---名付け親は
池田「いちお、僕なんですけど」




---で、初ライヴ

高島「その高校生の時にオリジナル曲が1〜2曲くらいと、あとはコピー」
---この3人でコピーしたのって?
りん「いろいろありますね」  池田「めちゃくちゃ(笑)」  高島「ビートルズから、パフィーまで」  池田「オンリー・ユー(プラッターズ)とか」
高島「(夢見る)シャンソン人形、とか」
---へぇ・・・みんなそれぞれすごく音楽を聴いてたんですね
高島「ジャンゴっていう熊本のライヴハウスなんですけど、高校生しか出れないお昼のイヴェントがあって、それに出ました」
---で、コンスタントに活動しだすんですか
高島「いえ、最初の2年間くらいは、2ヶ月に1回とか。その後増えてきた感じで」
---メジャーが決まる前のライヴ本数は
高島「そうですね。去年は40本くらい」
---福岡のライヴハウスなんかで、名前は見ていたんですよ。でも、この名前、一体どんなバンドなんやろ?ってずっと謎でしたよ。コミック・バンドかなぁ、とか
高島「大体、パンクかコミックバンドって勘違いされてて」
---そのうち、友人に『こういうバンドなんよ』って教えてもらって、聴いて
高島「で、どうでした?」
---や、よかったですよ、うん。熊本って、ユニークなバンド多いですよね。 バンドでミーティングとか、どういう感じでやるんですか?曲決めたり、とか
りん「そういうのは、練習で」
---スタジオに入って・・・
池田「その、スタジオが、いつもりんの家なんです」
---え?家で練習できるんですか
りん「家で、できるんですよ」  池田「だから、時間の束縛が無いんで、家に行ったら練習というか、ま、だら〜っとしつつ」 りん「いろいろ物事決めて、練習して」
---ぶつかったりするんですか
高島「それは、三者三様になるときあり、2対1になったり」
---ところで、ファースト・ライヴってどんな感じでした?
高島・りん「う〜ん、覚えてないなぁ」 池田「僕が座ってたりとか、全員座ってたり、とか」 高島「あ、そうやったねぇ」
---それって、なんか狙ってたんですか?
池田「いや、そういうわけでは・・・」 りん「その当時の写真とか見るとすっごいダサイ感じ(笑)」

part2)「心地よさにも いろいろあるじゃないですか」

---初メジャー盤として、シングルとアルバムが同時リリースされるわけですが、かなりしんどかったんじゃないですか
高島「今回は、今までの曲もあり最近の曲もあり、って感じなので、ライヴで演ってたものを出す、という感じで」
---なるほど。録音するだけ、という。でも、あれですよね、バンド名「それでよかったのか?」で、アルバムタイトルが『トラウマ』というのは、かなりインパクトが・・・
りん「濃いですよね(笑)」
---なんなんやろか、と(笑)で、この『トラウマ』なるタイトルは誰が?
池田「エンジニアの方が、朝いきなり『トラウマって、英語だったんだね〜』って言いながら入ってきたんですよ(笑)で、それが、ちょっと頭に残ってて。トラウマって言ってたね〜、じゃ、トラウマでいいんじゃない?って」
---・・・わりかし、ものごとあっさりしてるんですね
全員「(笑)」 高島「これと言って深い意味を追求してやってるわけじゃなくて・・・」
---でも、曲作るときは・・・歌詞とか濃いじゃないですか
高島「あ〜歌詞に関してはそうかもしれないですけど」
---曲を作るということは、あなたにとってどういうことか?と訊かれたら
高島「一種の、表現の一部で、心地良くなってもらえればいいかなと」
---心地良い?
高島「いろんな意味で」
---いろんな意味で?
高島「心地よさにもいろいろあるじゃないですか?ヘンな心地良さもありつつ、とてもいい感じってのもあるし・・・想像してもらいたいなぁ、ってのがある。それが、コンセプトといえば、そうですね」
---では、ライヴのイメージは?
高島「そうですねぇ、自分なりの理想みたいなのはあるんですが・・・たとえば、曲を並べた場合に、その流れだったりテンションの域だったり、沸点とか、そういうのもあるんですけど・・・単純に、一曲、一曲の、その歌にしか分からない想いってのもあります」
---『その歌にしかわからない想い』?
高島「曲によるんですよね、これがまた」
---思い出深いとか、印象深いライヴって、あります?
池田「昨日かな?バチを飛ばした、とか」 りん「はぁ(溜息)・・・昨日、昨日ですね・・・名古屋でライヴだったんですよ」 高島「え?おとといだよ?あれ昨日か?」(ツアーぼけか?) りん「置いておいたバチもう全部落ちてて、バチは飛んで行って、でどうしたかというと、ずっと手で叩いてたという(笑)」 池田「それが、最近のことなんで、かなり印象に残ってますね(笑)」
---感極まった、というかそういうのってあります?
りん「確かに、ソロコンとかで地元の熊本に帰ると、やっぱり落ち着くかな」
高島「地元の安心感はあるよね。帰ってきたよ、って」

part3)「部屋は汚いけど、 隅の方だけすごいキレイだとか」

---上京するんでしたっけ?

高島「とりあえずは、熊本に居る感じ」 池田「こうせつな感じで」
---なるほど(笑) 注:みなさんご存じかとは思いますが、南こうせつさんは現在、大分県に居を構えて活動されております。
---それは、単に居心地がいいから、ってのが大きい?
全員「それは、ありますね」 高島「どこに居ても、やること一緒だし」 池田「(メンバーを見て)単純に地名が東京か熊本かの違いだよね?」
---逆に、熊本に居なきゃいけない理由があるわけではない?
池田「ただ、向こう行ったら、肌荒れるし(笑)」 高島「理由つけようと思ったら、なんでもありますよ。水が美味しくないとか」 池田「(小声で)ラーメン不味いとか」 高島「熊本、好きだからまぁ、ね?いいやって」 池田「東京でも別に、住めば・・・多分、住めば都だろうけど」
---『実は、俺は私は、東京行きたかった!』ってのは誰もないんですか?
りん「それは・・・なかった」
---基本的に、バンド仲がいいんですね
りん「仲が良いわけでは・・・」 高島「ま、一緒にこう、練習終わって3人でご飯食べに行こう!っていうのは、ないですけど・・・」 池田「3人とも主体性が無い・・・な、割に頑固」 りん「最悪の形態だね(笑)」 池田「けっこう、流れに身を任せるタイプ」
---だけど、頑固?
池田「そうです。そういった中での、頑固」 高島「タチ悪い感じね(笑)」 池田「部屋は汚いけど、隅の方だけすごいキレイだとか」 りん「(笑)最悪!」
---最後に、またまたバンド名の話に戻るんですけど、ほんとは、何かあるんですよね
池田「いや〜ほんとにないんですよ」 高島「たぶん、熊本の人って、他人と違うことをしたがるから、意味を追求するんじゃなく、人と違うことを、単純に、したいと思うんじゃないですかね。あ、それと、英語にしたくない、っていうのもあったし」 りん「アンケートでも『悪いところ:バンド名』とかありますよ」 池田「アルバムタイトルを『発売中』にしようって言ったんですよ(笑)」 りん「(事務所に)『それはどうだろう?』とか言われて(笑)」
---そうか・・・物を作る時、例えばアルバムタイトルとか、バンド名なんてのはそんなに大事なことでなく、もっと大事なことは別にある、ということですか?
りん「そうね、そっちのほうかな」
---「タイトルとかを、軽んじるわけではないけれど、こだわらない、というところに、こだわっている、というか・・・
高島「そうかも、しれないですね」

ライヴ直前まで取材。高島は、テキパキと小綺麗な服に着替え、カシオトーンを弾きながら発声の最終調整に余念がない。あとのふたりも、それぞれにスタンバイ。 では、後ほど。

そして彼らのライヴを、初めて観た。 歌の存在が、異物感を伴うほどの強烈なインパクトを放ち、メトロノームでは測れないグルーヴを紡ぐ。魂在るところに音楽が宿り聴衆を惹きつける、すばらしいロック・ショウであった。九州・熊本に住むこの巨才、ライヴは変わらず活発なので、ぜひ体験してほしい。


それでよかったのか? それでよかったのか?/96年熊本にて結成。メンバーは、高島匡未(Vo&Key)、池田英史(Ba&Cho)、りん(Dr&Cho)の3人。その独特のバンド名と共に、地元熊本のみならず、九州バンドシーンでは誰もが知 る存在となった。数々のオーディションに入賞し、各媒体から注目を集める。メジャーレコード会社10社の争奪戦を経て、キティMMEより00年11月マキシシングル『無題』、アルバム『トラウマ』で遂にメジャー・デビュー。 http://www.universal-music.co.jp/  (写真左からりん、高島匡未、池田英史)

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