WEB BEA VOICE Vol.260 TOP  BACK NUMBER  ARTIST INDEX  BEA-NET
地元の音楽家やキーパーソンを紹介するコラム
Text by Yu-shi Mori

 今回からの新コーナー。新旧問わず、<とても気になる>あるいは、<どうにも気にせずにはいられない>音楽家にグッと迫ろうという企画。 さて、初回は、最近ロック雑誌等でよく紹介されているので、ご存じの方も多いのではないかと思いつつも、紹介せずにはいられない、つまり、音を聞いていただきたい、ぜひともライヴショウにご足労いただきたい3組の素晴らしいロック・バンド。 まずは「モーサム・トーンベンダー」。結成約4年ながら、地に足の着いた堂々たるライヴ・アクトで、最近の人気が浮ついたものではないことを確認できうる納得プレイ(なんか風俗っぽい表現だが)を約束してくれる。福岡公演でのフロント・アクトをつとめたことがきっかけとなりズボンズの全国ツアーに同行、廻った各地でますます評価を上げ、セカンド・アルバム「DAWN ROCK」もいいタイミングで発表された。アルバム・リリースに対応したツアーも順調に消化しているようで、終着点の福岡ビブレホールでは約200名を動員、このあと紹介するこれまた話題の「54-71」が同行していたにせよ素晴らしい成果だと言える。もちろん、動員だけがバンドの全てではないしむしろ動員を語るのは疎ましいと思われることも、特にインディーズ系の中には歴然とあるんだろうがそこんとこも彼らは一枚突き抜けたと思う。メンバーのキャラに違わずじわりじわりと牙城を築いている、といった感じだ。この原稿を書いている時点では未だ福岡在住なので、仕事の多くが全国規模へと広がるにつれ移動はじめいろんな問題を抱えているんだと類推するに難くないが、大勢は追い風である。案ずるはなお及ばざるが如し、といきたいね。
 次に紹介するのは、いっぷう変わったバンド名「54-71(ごじゅうよんのななじゅういち)」である。東京のバンドで、特に目立ったリリースや宣伝があったわけではない。ただ、その強烈なインパクトを与えるライヴ・アクトが人々を黙らせておかなかったようである。音数を減らし、極限までシンプルな構成で最大限のグルーヴを生成することのみ。音楽を追求するあまり、僅かでも演奏が乱れると山寺に籠もり精神を整えるというあたり、徹底の度合いが桁違いだ。ドラムが一心不乱にビートを刻み、背中しか見せないベーシストが黙々とロウを充填、シャープで、あるいは途方もなくサイケデリックに鳴り響くギターも絶品。シンプルな楽器でシンプルなサウンド・・・そしてそれは奇跡的なアンサンブルを奏でる。ヴォーカルが、すごい。もうひたすらすごいとしか言えないのである。「ソウルフルなヴォーカル」と表現されたのをなんかで読んだことあるが、いわゆる黒人音楽をなぞった「ソウルっぽさ」ではない。一見奇妙に映る微妙な動きと共に、抑揚起伏のバランスが見事である。ステージから目を離すことはもう、不可能。絶対に観て損はないと断言しよう。
 さて、3組目は、うってかわって60年代的なハーモニーワークとオルタナティヴ・ロックの轟音を併せ持つユニークなサウンドを聴かせるフィールド。上記2バンドと音楽的な共通項を安易に語るつもりはなくて、まず、ヴォーカル・ソングライターの林田が手がける詞の持つ文学性に耳を向けてもらいたい。語感とメロディー、重なってくるハーモニーは重厚かつ濃厚であり、ライヴ・パフォーマンスは、上記2バンドと比べると極めてそっけないものであるにもかかわらず、なぜか心に残ってしまう杭のようなものが、深いところで相通ずるものを感じるわけで、あえてここに挙げたというわけだ。彼らもまた福岡在住、自主企画のイヴェントも精力的に唯一無二のギター・ロックを鳴らしている。
DAWN ROCK
/mo'some tonebender
UNTITLES/54/71
のろしをあげて/フィールド