| 21世紀のテーマは“キープ・ザ・クソガキ魂” | |||
| 文/なかしまさおり TEXT by Saori Nakashima 写真/山田トモフミ PHOTO by Tomofumi Yamada 衣装/SANDY DALAL |
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SPECIAL
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| デビュー以来、枠にハマらないアグレッシヴな活動で常に話題を振りまいて来た吉川晃司。 ファンの間でもプレミアム・チケットと化した全国ライヴハウス・ツアーの敢行、13年振りの映画出演…と“まるで乱気流の中にいたみたいだった”と語る怒濤の2000年を経て、新たに目指す新境地はどこなのか? 永遠の“クソガキ”吉川晃司の“今”と“これから”について訊いた。 |
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● 一昨年夏にアルバム『HOD
ROD』を出されてからの1年間というのは、これまでの活動の中でもとりわけ濃度の高い1年だったと思うのですが。 「そうだね。最初はこれぐらいやれる!と思ってたけど、さすがに映画撮りながらライヴハウス・ツアーもやって、また映画っていうのは結構キツかったね。特に自分の中での気持ちの切り替え…例えば映画の撮影でバンバン人を撃って来た日に、リハーサルでピアノの弾き語りなんてやれないっていう、そういう難しさがあったし。ただ、それでもそういう混乱を楽しむっていうかね、半ば自分で自分に呆れながら楽しんでたってところはあるかな。やってるときは乱気流の中にいるみたいだったけど、パッと抜けてみるとなんだか結構いい感じ。アドレナリン、プラス、なんか怪しいものが脳から自然に出てるっていうかさ、そういう感じだったね(笑)」
● 確か、映画への出演は13年振りだったと思うんですけど、それまでは敢えて自分の中で映画というものを封印していたようなところがあったんですか?
「うん、封印してたね。というのも、もともと器用だし、ある程度のことはちょっとやればすぐに出来ちゃうんだけど、それを中途半端に続けちゃっても、結局は何でも出来るけど何にもできないっていう器用貧乏になりかねないんじゃないかなと思ってね。特に俺なんかは混沌とした芸能界デビュー…それこそ表と裏の違いをずいぶん見てきたわけで、このままここに居て、果たして人生として面白いんだろうか?っていうのがずっと疑問としてあったわけ。で、やっぱり俺は歌が好きで出てきたわけだし、ある程度、自分に対して自信がつくまではこんなことやってはいけないんじゃないかって思ってね。ま、簡単に言えば余裕がなかったんだね。ただ、ここ2、3年で余裕というか、自分に対する自信という部分で、今なら映画でも何でもプラスに出来るなと思って出た。それに映画どうこうというよりも、三池崇史という男の存在が圧倒的に面白くてね。彼の作品は前からほとんど見てたんだけど、コイツはスゴいヤツなんじゃないかなって思って興味があったんですよ。今の日本人ってどうしてもテレビ慣れしちゃってて、細かく説明してやらないと分からないってところがあると思うんだけど、彼の映画は生きることに対して過度な説明なんかするなよって言ってるように思えてね。ひょっとしたらコイツ、相当IQ高いんじゃないかと(笑)」
● で、実際に仕事をしてみてどうでした? 「思ってた通りのヤツだったね。しかも、思ってた以上にズルいヤツで(笑)。でもまぁ、映画なんてズルくないと撮れないだろうし、『漂流街』にしても『天国から来た男たち』にしても賛否両論あるとは思うよ。だけど、それも踏まえた上で俺は三池崇史って男のパンクさ加減、バカさ加減に付き合いたいなと思ってるから、来年もいくつか一緒にやる予定ではあるんだよね」
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● 『天国から来た男たち』はフィリピンで撮影されたんですよね?そこで受けた刺激というのが、シングル『ナイフ』や現在制作中のアルバムに大きく反映されているという話を聞いたのですが。
「そうですね。そもそも映画自体、40人、50人という全く違った感性や考え方を持つ連中が集まって無理やり1個のモノを創るわけでしょ。それってすごく矛盾した構成だとは思うんだよね。でも、俺なんかにとっては逆にそれが凄く面白いっていうか、ひとりでアルバム作ってるのとはまた違った刺激があったと思うし…特にフィリピン人のね、あの根性の座り方には、ちょっと人生観を変えられましたね。とにかく僕らからすると想像もつかないような壮絶な所に住んでいるし、子供の臓器売買とか、そういうのが平気で行なわれてたりもするんだけど、決して暗くないっていうのかな…全然絶望しないし、夢を話すんですよ。そういうの見てたら凄く逞しいっていうか、モノは無いけど心があるなって思っちゃってね。だって日本は、モノはあるけど精神が無い…不謹慎な言い方かもしれないけれど、どっちがうらやましいんだろうな、と思って」
● 確かに。今の日本は何でも手に入り過ぎて、夢を見るっていうこと自体が無くなって来てるのかもしれないですね。 「うん。社会が成熟しすぎたせいで夢の糊代っていうのがほとんど残ってないから、簡単には夢を口にできない。しかも、熟れ過ぎた果実は腐って落ちるか…もし、かじったとしても甘ったるくて食えたもんじゃないっていうね。ま、こういう国にしたのはやっぱり僕らの何個か前の世代の人たちだよね。戦後、とにかく富国に向けてムチャクチャなことをやって、確かに国は金持ちになったけど精神をなおざりにしちゃった結果がコレ。だから単純に子どもだけにその責任を押し付けるのは違うと思うし、かといって子ども連中も甘えてばかりじゃいけねぇぞ、と。そういったところで、じゃあ俺に出来ることは何かっていうんで『ナイフ』っていう曲が出来たりして。とにかくフィリピンに行ったことで一歩も二歩も先に進めたような感じはしますね、自分の中で。だからアルバムもそういう…情報がありすぎて飽和している世の中であえて、自分から限定された状況--例えばこれ以上の音数は使わないとかっていうのを作ってってやってますね。やっぱり10代と30代では何が圧倒的に違うかっていうとモチベーションの保ち方なんですよ。それは人によっちゃあ凄い大金かもしれないし、名誉なのかもしれないけど、俺としては常に飢えていたいっていうのがあって。年齢を重ねるたびに頑なになってしまうところをあえて追い込んで、つねにお腹が空いた感じにしておく。そこで保険を作っちゃダメっていうか、やっぱり刺激的なヤツが一番良いと思うんだよ。だからバラード、バラードって言われても…正直、キツイ部分もあったりして…なんか照れ臭いっていうか、バラード作ってる間に自分が慰められちゃったらどうしようっていう…ね。もちろん、たまにはバラードもいいんだけれど、それはディナーショーでもやらないとね(笑)」
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| ● 春の全国ツアーはどんな感じになりそうですか?噂では昨年春のライヴハウス・ツアーとミックスさせたモノになりそうだということですが。 「うん。今回はね、もうかなりキレてると思うよ(笑)。何しろ、バンドのメンバーにはARBのギター(内藤幸也)とベース(堀内"ebi"一史)が参加することになっているし、ホールで演った次の日にライヴ・ハウス…とか、メニューも方法論も違った部分でいろいろ案を練ってるからね。それに、やっぱりホールはエンターテインメント性の高いショウを、ライヴハウスはもっと裸な感じを…っていう、そのグシャグシャ感の中でどこまで自分がクールでいられるかっていうね、そういう部分でのトライもあるから」 ● それこそ、昨年に引き続き“混乱”というものを楽しみながら…っていう部分で? 「そうだね。それにこれはいつも言ってるんだけど、俺は常に大人気ないクソガキでありたいっていう…ね。もちろん、良い車にも乗りたいし、良い家にも住みたいとかは思うんだけど、それより何よりギャーッ!ワーッ!って言いながら騒いでいるのが一番楽しい。だから21世紀のテーマは“キープ・ザ・クソガキ魂”で行こうかなと思ってる(笑)。それにね、きっと若い世代の人たちにもそのクソガキぶりっていうのは一見の価値があると思うし、映画をきっかけにでもいいから是非、見に来て欲しいなと思いますね」 | |||
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![]() ●吉川晃司/1965年8月18日生まれ、広島市出身。1984年、シングル『モニカ』にてデビュー後、数々のヒット・ナンバーを放ち、1989年には布袋寅泰とCOMPLEXを結成するなど、常に枠にハマらないアグレッシヴな活動で多くの話題を振りまいている。 |
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