WEB BEA VOICE Vol.262 TOP  BACK NUMBER  ARTIST INDEX  BEA-NET
開放してるっつーのは、叫ぶとか大声で笑うとか泣くとかに喩えがちだけど、
そうじゃないのが、ひょっとしたらアタシが持つ開放なのかもしれないぞ
●インタビュー・構成/SATOMI YAMASAKI
  “大地の「地」、空気の「気」―それを遊び、戯れる”。桃乃未琴の3rdアルバム『地気遊戯』にはこんな言葉が添えられていた。たおやかさと無限の自由をもって音楽と戯れ、音楽を遊ぶ。言い換えれば、“音楽”という無限の遊び場を桃乃未琴は今作を通して提供してくれている。とても新鮮で、でもとても懐かしい感じ。まっさらな気持ちで音を楽しむ桃乃未琴がここにはいる。これが彼女の手に入れた、本当の歌なんだろう。

「懐かしいっていうのはあたしの中ですごいキーワードで。懐かしいものに触れたときが一番力が抜けて楽しめるっていうのを、今回すごく確信した。自分の中で、極度な着色とか演出とかをしたくない、まっさらなものにしたいなあって、それがアルバムに取り掛かった時の一応テーマではあったんだけど、そういう自分に10曲の中で最終的に近付いていってる様が録れたかなあ、って。ヒリヒリした曲もあるけど、でもなんでか、アタシがヒリヒリしてて傷ついて可哀想で、アタシの明日はないのよ、みたいなのは絶対なくて。そういうのって、客観的に自分で聴いてて、…つまんないっていうのも変なんだけど、いつまでもドロドロドロドロして、そのドロドロしたものを自分が食べてニンマリして、それで終わり、みたいな、それがすごい嫌で。そうじゃない、もっと開けた感じがどうにか出せないかなと思ってたし。あと、邦楽のギターサウンドであるものって、どうしてもそっちに行くんだなっていうのがすごい気になってて…その枠の中に括られる自分も嫌だった。それはイメージする人達がじゃなくて、自分達が何かしらの演出してるからきっとそうなるんだよなあって、そうじゃないならそうじゃないなりにやったほうがいいと思った。そういう時に五十嵐君にしても名越君にしても、アタシの中ではすっげぇドロドロしたものをサラリとしたものにしてくれて。お互い行きたくないとこはよくわかってるから。で、五十嵐くんとよく話すのは、もっともっと、桃乃未琴のサウンド、音っていうところを、ちゃんと作りたいねっていうことで。どういうジャンルか、じゃないところに今立ってるから。何か、もっと広い意味を持つ音作りっていうのがいいなあって。いろんな要素があるんだけど、一個に出来ない、一個にしてしまえない感じの、音楽。そのために何が必要かっていうと、時代の中で何を求められてるかなんてもうわかんないし、結局“自分”なんだなあって。だから今は、当然良い曲を作ったり、良いサウンドを作ったりっていうそれは最低限なんだけど、なんか自分が、いっぱいいろんな人がいる中で、微妙に違うんだっていう、その微妙に違う“微妙”をどうやったら育てられるかなあ、みたいなことを考えてる。それが一番楽しいかもしれないって」

LIVE IN DRUM SON 2001.1.26(fri) at DRUM SON
『言葉にはもう、できないのよ』。この夜のライヴのラストで演奏された曲タイトル、この夜のライヴを伝える言葉を考えたら、これ以外にはありえないと思った。Asa-chang(Per)との特別な貴重なアコースティック・ライヴ。目前のステージから産まれ来る暖かくふくよかな音の息吹が、会場中を包み込んだ。歌とギターとパーカッションというシンプルなセット。たった5曲の短い時間。それでも彼女が『地気遊戯』を持って示した、“音楽で遊ぶ、楽しいから歌う”という単純な真実を感じるには十分だったと思う。「どーも。こんばんは」とまるで友達の部屋に遊びに来たように始まるまったり天然トーク(笑)も冴え渡り、ちっちゃなライヴハウスの中は終始ゆる〜い、アットホームな雰囲気。これを無防備と言わずして何と言う。真冬の一夜、冷え切った身体に、心に、じんわり染み込む音魂達。涙腺も緩みっぱなしで、ライヴ終了後の顔は人様にお見せしちゃいけない顔でした。

M1.空/M2.青いトゲ/M3.あなたは海の底/M4.大切なコト/M5.言葉にはもう、できないのよ

73年11月29日生まれ、広島県出身。97年7月シングル『あなたは海の底』でデビュー。以降シングル、アルバムと順調にリリースを重ね、3枚目となるアルバム『地気遊戯』では、五十嵐慎一、名越由貴夫等旧知のミュージシャンとともに新境地を開拓している。


New Album 『地気遊戯』
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