WEB BEA VOICE Vol.265 TOP  BACK NUMBER  ARTIST INDEX  BEA-NET

 
  闇路にゆらめく蒼色の灯 その向こうに見えるものは
CROSS FM PRESENTS 山本美絵 招待ライヴ
2001.4.1(wed) at DRUM Be-1
TEXT by NAOMI KUBOYAMA PHOTO by TOMOFUMI YAMADA

 山本美絵。どこにでもいそうな名前だが、雑誌で見た彼女のCDジャケットや写真等は見過ごすどころか、妙に引っかかって不思議な感触にとらわれる。そんな時、FMから流れてきた歌声で、またさらにその感触は深く身体の中へと入り込んでくる。お気に入りのアーティストや曲に出逢うと、その人物を探求し勝手に親近感を持ったりするのが普通なのだろうが、彼女に関してはこれとは違う。知りたいんだけど、探求してはいけないような感覚が何故かある。と、勝手に彼女を何かの枠にはめようとしているような感じも捨てきれない中、彼女のライヴを見ることが出来た。
 この日はCROSS FM主催無料招待ライヴ。会場には「山本美絵ってどんな人物なんだろう?」という気持ちでいっぱいの人が集まった。照明が落ち、暗闇に包まれた次の瞬間、『○○ゴッコ』のイントロが流れる。ゆっくりとカーテンが開いてゆき、照明が彼女を照らす。そして「ほっといて。独りになりたいの独りが好きなの」と歌い始めた。
彼女を包み込むように張られたダークグレーのカーテン。背の後ろにはオーガンジー素材だろうか、薄手の布が天井に向け二等辺三角形の形で張られている。彼女の独創的な“声”と照明によって色を変える布達、そしてなんといっても表情に圧倒されてしまった。そう“眼”が印象的なのだ。FMやCDで聴いている時の印象からライヴは目線をはずし、ちょこんと小さい感じで歌う姿を思い描いてしまった自分が情けない。彼女は真っ直ぐに前を見据え堂々と力強く、とてもとても大きく見えた。そんなにライヴをこなしてはないはずなのだが、そこにはしっかりと彼女にしか作れない世界があって、底知れぬ怖さを感じてしまう。
MCらしいMCはほとんどなく、身を削るような思いで歌い続ける彼女をフロアの客もただただじっと見入っている。彼女の目、口元、指先の動き、腰まである長い髪、息使い、揺れるスカートの裾。どれも見逃しちゃいけない、そう誰もが感じているよう。ギター、ベース、ドラム、キーボードのしっかりしたサポートに彼女の生声がのる。ファースト・アルバム『オナモミ』から7曲を披露してくれた訳だが、より深く生々しい。中でもアコースティック・ギターだけで歌った『外は雨だよ』の「一人じゃ生きていけなかった」は心にひっかかった。詞の世界から厭世感をイメージしてしまうが、彼女は歌で表現し、ちゃんと生きている。渡された資料には「私はいろんな物を失いながら生き延びていく」とあったが、私達はあなたが失った物を感じながら、あなたの世界に迷い込んで行く。そんな気がした。
M1.○○ゴッコ/M2.カーネル M3.外は雨だよ/M4.エサをあたえないでください M5.猫/M6.ある晴れた日に/M7.17