WEB BEA VOICE Vol.266 TOP  BACK NUMBER  ARTIST INDEX  BEA-NET
ピアニストとしての自分を聴いて欲しい
●TEXT/HIDEKI ARAKI
 4月21日に3年振りとなるアルバム『ピアニズミックス』をリリースした塩谷哲。ジャンルに縛られず、ピアニストとしての可能性を探る彼は、この最新作に何を託したのか。
「この間、ソロ・アルバムは作らなかったけどいろいろと新しい活動があって。例えばクラシックの名曲を僕なりにアレンジしたイベント“COOL CLASSICS"があったり、佐藤竹善のツアーに参加したりとか、当たり前だけど活動はしてて、自分が次に何をやるのかはっきり見えてきた。今まで、アルバムを作ることになると自分の音楽性をアピールすることが先に立って、アルバム作りの全体を自分がやってた気がするんです。それは裏を返すとピアニストとしての自分に自信がなかったからなんです。それで今回はピアニストとしての自分を聴いて欲しいと思って作った」と塩谷さんは、今回のアルバムへの強い思いを教えてくれた。そんな思いの表れが、今回初めて自分以外のプロデューサーを入れたことでもわかる。
「アレンジも含めて全部自分でやると、アルバム全体を見てしまうので、プレイヤーとしての自分が見えにくくなるんですよ。それに森俊之というプロデューサーの音楽性が入ることによって、自分の音楽も際立つことになるんですよ。その相乗効果 もあると思った」と森氏を起用した理由を教えてくれた。彼が言うようにその効果 は大きい。例えば、今回のアルバムではビートやギターを前面に押した曲が幾つかある。しかし、そんな曲でも必ず彼のピアノが中心にデーンと構えているのだ。だから、いくらギターが遊んでいても、曲に1本の芯が通 り、心地良い安定感を醸し出している。こうしたことが約50分のアルバムを短く感じさせ、もう一度聴きたいと思わせる。
「そう思ってくれると嬉しいですね。また聴きたくなる感じにしたかったし。それにジャズ・ミュージシャンがよくやるように、テーマを設けてあとはアドリブでやるっていう手法にしたくなかったんですよ。アドリブだけを聴かせるのはつまんないし、僕もガンガン弾いてるけど、曲全体の構成やアレンジを含めて曲として作りたかったんです。そうすれば何回も聴きたくなるから。自分の感覚はジャズの自由さに近いと思うけど、その反面 、ポップスのようにくり返し聴けるようにしたいんです。歌の代わりにピアノが歌ってる」という。確かに、このアルバムにはジャズ的な自由に溢れた曲がいくつもある。しかし、それにポップスの要素を加えることによって、小難しくなく、曲の楽しさが伝わってくる作りになっている。
改めてピアニストとしての自分を意識した『ピアニズミックス』は、塩谷哲の新しい姿だ。

PROFILE/86〜96年までオルケスタ・デ・ラ・ルスのピアニストとして活躍。95年からはシング・ライク・トーキングの佐藤竹善氏とSALT&SUGARを結成して話題を呼ぶ。現在では、自らのSALT BANDを中心に、イベント“COOL CLASSICS”など幅広く活躍中。
オフィシャルHP:http://www.genplanning.co.jp

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