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- 【バンドしょう】
中三の四人のアイドルの夢は叶えられなかったが、高校でもやはりエレキ小僧は何人もいた。またまた、ギターばっかり。ところが、高校生活も2年目に入った時、よそのクラスにドラムを持っている奴が見つかった。
腕前なんか関係ないとばかりに、話しかけた。「バンド?俺もしたかったと」「俺達三人とあんたとでバンドつくろう」これ以外の会話は必要なかった。本当はもっと話しておいたほうがよかったと思う時がすぐに来るのだが。
僕達三人がくじ引きで、パートを決める事となった。僕はベースになってしまった。はっきり言ってがっかりした。僕がベース・マンに魅かれるにはもう少し時間がかかった。ギターを売って、足りない分はバイトしてエレキ・ベースを買う事となった。もちろん、他の三人も協力してくれたので、すぐにベースが手に入った。バンドのミーティングに、やりたい曲のレコードを持ち寄ってレパートリーを決める事となった。
ベンチャーズ、ジョーカーズ、キンクス、ヤードバーズ、ビートルズ、ストーンズけっこう見栄を張ったレコードだ。ギターの二人はベンチャーズ、アストロノウツ、ビートルズだった。ドラマーは「俺、テンプターズしたい。
タイガースも」と目の前に、グループ・サウンズのシングル盤を数枚並べた。 「?」「?」「?」
「グループ・サウンズは歌謡曲のごたぁけん、やっぱぁくさ、ロックばしょうや」
「ボーカルは英語やないと」ありとあらゆるやさしい言葉でグループサウンズ君を説得しようとした。ドラマー君は「俺は誰でっちゃ知っとう曲ばしたかっちゃん、GSせんとやったら、他のメンバーを探したっちゃ」と真面目に脅迫し始めた。
「どうしょうか」
「ドラム、おらんやろ」
「しょんなか、レパートリーの1/4はGSっちゃ良か」
ドラマー君も納得した。
練習場所はリード・ギター君の親父の会社の資材置き場となっている倉庫だ。近所に家はないし、かなり大きな音を出しても誰も何も言ってこない。四人とも出来る曲を数曲やってみよう。ベンチャーズとアストロノウツだった。ダイアモンド・ヘッド、パイプライン、太陽の彼方に、ワイプ・アウトは数回の練習でモノになった。持ち寄ったレコードから我がバンドの最初のレパートリーを決める事となるのだが、テンプターズが出てきた。
「良かたい」
「それとキンクスのこれ」
「やっぱビートルズも」
「僕もビートルズのこれ」
カセット・テープに録音して一本づつ持って帰る訳には行かない時代だから、何日かおきにレコードを交換しあった。
二回目の練習の日が来た。土曜日学校が終わると同時に例の倉庫に集合だ。英語の曲を練習していると自分達がまるでビートルズの追随者のようにも思われるが、「カミさま、おねがぁいぃだ」の番になると恥ずかしい事をしているような気がしてしまう。
ドラムはいいセンいってるのに、どうしてこんな曲ばかりしたがるのか、不思議でしょうがなかった。三人のうち誰かがそんな事を言うと彼は「なんかなし、好いとおったい」
そんな練習が何回も続いていく事となった。

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