キングスネーク伝説

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Legend of KingSnake

【ドラマー君の秘密】

ドラマー君の手際よさには僕のみならず感心してしまった。まるで綿密な打ち合わせが何度もなされていたようにてきぱきと準備が進められた。明日は初めての演奏会というので、ぼくらビーチ・ボーイ達(ズ)は演奏会の曲順で練習をしていた。そこへ重松という女の子が数人の男女を連れてやってきた為、一時練習を中断して演奏会の打ち合わせをする事となった。
重松は七組の生徒でドラマー君のカノジョみたいたが、数人の男女はドラマー君の中学の時の同級生で別の高校に行っているそうだ。この連中がステージこの連中がステージの準備をする事になった。「ステージ」と言う言葉に僕は背筋がぞくっとするものを感じ、ひょっとするとビートルズやストーンズも一度は同じものを感じたのだろうか、等と考えていた。
 明日三時にコンサートが始まり、夕方から自炊をしてキャンプ気分を味わおうと言う事になった。と言うよりも、彼らがそう決めていたようだ。打ち合わせが終わり、打ち合わせが終わり、彼らはステージの準備をするため公園へと出て行った。僕らは最後の練習へと戻り、最後の曲まで通して練習した。
 その夜は、人数も増え騒がしい晩飯となったが、食事をしながらそれぞれ自己紹介をしていた。重松が連れてきた三人の男はビートルズの大ファンのようだ。女性はと言うとみんながタイガース、テンプターズ、ジャガーズと言い出す始末だ。これで、ドラマー君のグループ・サウンズかぶれの正体が判ったと思った。重松達の話しでは、同級生達が三十人くらい、よその高校からも二十人くらい明日の演奏会にやってくるらしい、えらい事になった。初めてバンドを組んで三ヶ月程度でこんな事になっていいのだろうか、ミス続出で恥かきだけで終わるのじゃないかと不安になってきた。
 気晴らししようと外へ出てタバコをすっていたら、七組の重松がやってきて、「ごめんなさい。むりやりテンプターズとかGSの曲練習してくれて」と言い出した。「あいつがしたかって言うてきかんけん。ばってん、あいつドラム上手いけん。他の奴探すよりはと思うとったけん。あいつぁグループ・サウンズやらほんとに好いとうと?」と聞いてみた。
案の定、ドラマー君は重松に惚れた弱みで彼女にグループ・サウンズの曲を演奏して気を引こうとしているらしく、本当はローリング・ストーンズの大ファンだそうだ。
 好きな女のためにグループ・サウンズの曲を練習していたなんて、キザな奴だと思った。僕らは四人とも気心も判ってきていたし、話してくれればこっちもそのつもりでつきあってやったのにと思った。少々ミスしてもかまわない、明日は精いっぱいガンガン演ってやろうという気持ちが出てきた。

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