キングスネーク伝説

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Legend of KingSnake

【テレビ・ハイジャック】

 KBC九州朝日放送のテレビの人気番組「ティー・タイム・ショウ」は長谷川弘氏と井上和子さんがパーソナリティーをつとめる、昼の人気番組だった。
ワイド・ショウなのだが、ロックや若者の文化をとり上げ、若者と学識経験者達のディスカッション等をやった事もあった。「ヤング・ポップス」の松井さんから頼まれて僕も数回、若者として出演させてもらった。
当時、長谷川弘氏は、ロックについて、アメリカでは若者を操作するため、大人達が糸をひいてロックを広めてきた、エルヴィスのアメリカ陸軍入隊も若者の目を軍、国家に向けさせるために大人達が仕組んだ事以外の何物でもないと言ったりしていた。
「ティー・タイム・ショウ」でロックやヒッピーの特集を組み、須崎公園に集まった福岡、京都、東京の長髪、ベル・ボトムが出演する事となった。
スタジオに楽器を持ち込み、バンドが演奏する。周囲にはタンバリンや空き缶パーカッション、ウッドストックの映画で歯抜けの農夫が吹いていて流行したカズー等を持ったヒッピーがたむろして騒いでいるシーンから番組が始まった。
僕もその場にいたので、どういうシーンが放送されたかは解らないが、バンドの演奏が終わり、番組の司会者かヒッピー達に色々と質問をしていた。
何を尋ねていたか、もう覚えてはいないが、きっと「どうして髪をのばしたの?」とか「マリワナしたことあるの?」とかだろう。ヒッピー達の理屈好きに、ハッパの代わりに持たせた一升瓶が拍車をかけた。
生放送のコマーシャルが始まったとき、事件は起こった。
2、3人のヒッピーが井上さんを取り囲むような形になり、コマーシャルなんかくそ食らえと罵声が飛び、商業主義がどうだの、俺達は商品じゃないだの、ガタン、ドンドンドン、イェーッ、俺達の望むものは・・・バシーンッ。司会者真っ青、ディレクターあわてる、ヒッピーズ舞い上がるの図が展開されているのである。
数人が井上さんを取り囲むような形になり、罵声が飛び交いスタジオ内は騒然となった。資本主義社会に立ち向かうとか、そんな仰々しい事ではなく、単なる馬鹿騒ぎなのだが、カット、編集のできない生放送だったからどうしようもないのである。
スタジオでの騒ぎが電波に乗ったのは、そんなに長い時間ではなかったのだろう。その後、友達から聴いたところによると、すぐにテレビには「少々お待ち下さい」のテロップとともに、別のバード・ウォッチングのような番組に切り替えられたそうだ。
「ティー・タイム・ショウ」のデイレクターの人は始末書、減俸といった災難が待っていた事だろう。
その夜は、KBCでバイトしていた顔見知りのマスコミ業界の卵達とのディスカッションとなった。まるで映画「砂丘」の最初のシーンのようで、物事をくそ真面目に考えるのが苦手な僕には不向きだと思いながらも、話しにつきあったが、どういうメンバーでどんな話しをしたのか、もう忘れてしまった。
しかし、ニュースには成った。福岡で発行されている新聞はもちろん、関西の新聞にも「ヒッピー、テレビ・ジャック」「フーテンによりテレビ番組中断」と言った見出しで報道された。KBCという放送局の名は一躍日本中を駆け巡った。
その瞬間は誰も考えもしなかっただろうが、KBCの名前が日本中を駆け巡った宣伝効果を金額に換算すれば、ヒッピー効果は大きなものだったに違いない。

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